医者でありながら小説家である生き方をされている日下部羊氏のこの小説は、私が今まで心の片隅に持っていた疑問に答えてくれた作品です。
私は介護の世界に入り20年近くなっていますが、最近特にここ10年くらい前から施設の入居者の方々を介護することに疑問を持っていました。施設に入居された当初は杖をつきながらも歩いていた方が単独で行動するのを危険と判断して三カ月ほどで車椅子に乗せられている人、口から食事が取れなくて胃瘻(胃から直接チューブで流し込む)になる人、もう年齢的に高齢で弱っている方に点滴で栄養補給、そのような方を数多く見てきました。
この作品の中にも書かれているように昔は自分で食事が取れなくなったら自然な流れで苦しまずに死を迎えることが出来ました。
今は自然に死を迎えることが困難な時代になっているのです。
私が介護する事は人の為に役立っているのか、この人は早く楽になりたいと思っているのではないだろうかと、思いながら体を動かしている今日この頃です。