お待たせしました!


東京&中日新聞掲載の


コラム『紙つぶて』を原文でご紹介しています。


24日土曜日のものです(*^_^*)


木場弘子


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『減災意識』



震災後、国交省の審議会では防災をテーマにした


街づくりについて話し合いを重ねている。



様々な被害の事例を紹介されるが、


自然災害の前に絶対的な構造物などないと思い知らされる。


震災時、水門の閉鎖や誘導を行っていて


津波の犠牲となった消防団員は254人もいらした。


これがもし、自動もしくは、遠隔操作で対応できていたら、


全く違っただろう。



何としても、人命を守るために、


国は「減災」の考え方の重要性を訴えている。



防災が、堤防などの構造物で自然災害を抑えこむのに対し、


減災は、その力をかわしたり、和らげたりして被害を最小限に抑え、


その間に避難の時間を稼ぐ。



絶対的なハードがない以上、


ソフトをもっと充実させることが課題となる。



中でも特に重要なのが、私たちの当事者意識だろう。


私の周りでも、まだ「減災」という言葉を理解している人は少ない。


国には丁寧に説明して欲しい。



まずは、地域のつながりを綿密に。


学校や職場などの組織に属していないお年寄りや主婦に


どう情報提供するのか。私たち自身の24時間の行動パターンから、


自宅、移動中、職場など、それぞれの場面での被災を


具体的にイメージして備えること。



地震発生時には考える時間がいかに少ないかを


私たちは1年前に学んだ。だからこそ、


災害時に具体的な行動が取れるよう、


いまこの時間に、家族、隣人、行政と話し合わなければならない。



(木場 弘子=キャスター、千葉大学教育学部特命教授)