こんにちは(*^_^*)


毎週月曜に中日&東京新聞夕刊の

『紙つぶて』を原文(長め)でご紹介いたしております。


本日は、3月17日掲載分です!


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『空間は誰のもの』

今日はちょっと愚痴っぽい話で恐縮だが、

最近、家を出ると謝ってばかりだ。

通路ですれ違って「すみません」

道を塞いでる団体を追い抜いて「すみません」

エレベーターの乗り降りで「すみません」

1日十回ではきかないだろう。

しかし、お互いひと声を掛け合うことで、空気が和むと思うのだ。

接触しそうな状況は双方同じなのに、

返事も返さず、ふんっとされると、ムッとしてしまう。

夫も「一歩外に出るとイライラするが、

ストレスを感じる方が損するなあ。」とボヤく。

確かに彼はよくエレベーターの開閉ボタンを押したり、

次の人のためにドアを開けて支えたりするが、

「どうも」のひと事もなく、平然と出入りする人にはため息だ。


新幹線などの移動では、耳や鼻に辛いことが起こる。

携帯の会話は一時に比べて減ったが、パソコンの音も課題だ。

普通の打ち方ならいいのだが、親の仇とばかりに隣でバチバチ、

キーボードを打たれると、もう居たたまれない。

最近は予防のため、ステレオヘッドホンを持ち歩くようになった。

食べ物の臭いもやはり、きつい。先日のぬか漬けはかなり厳しかった。

以来、私はリップクリームを香り付きにして、マスクをする。


ストレスから身を守るために色々と工夫はしているのだが・・・。

個室で育った人が多いせいでもないのだろうが、こう問いかけてしまう。

「この空間は誰のもの?あなただけのものではないでしょう。」


(木場 弘子=キャスター、千葉大学教育学部特命教授)