『復讐者に憐みを』
愛する人を奪われた者の殺意は、加害者のそれをはるかに凌駕する。
この作品の中での加害者は、明確な殺意など無く、結果的に半ば事故のように命を奪ってしまう。
それに対する、復讐者の暴力の限りを尽くしたような壮絶な殺戮。
主人公は復讐する側でもあり、される側でもある。
前半部分でその不幸としか言いようがない主人公の境遇をじっくりと描くため、
後半からのソン・ガンホの残虐な復讐には( また凝った殺し方するんだこいつがT_T )、
せめて主人公の話を聞いてあげてくれ!頼む!と居た堪れない気持ちになってくる。
だが、主人公は聴覚障害者。
ここでもこの設定が活きてくる。見事としかいいようがないです。
パク・チャヌクの復讐三部作の一作目。
こちらは「復讐に取り憑かれた者の姿」を描いた作品といったところか。
復讐者に憐みを、いいタイトルだと思う。
『復讐者に憐みを』の満足度:★★★★☆
警察が運ぶ動かなくなってしまった恋人の手を、固く握りしめるシーンが好きだ。
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『親切なクムジャさん』
パク・チャヌク監督、復讐シリーズ最終章。
復讐するということがどういうものか。
復讐を遂げた後のクムジャさんの表情。
真っ白なケーキに顔をうずめ、号泣するクムジャさん。
それらがすべてを物語っている。
返り血を防ぐためにレインコートを纏った連中が、
廃坑の薄暗い廊下のベンチに律儀に並び、
復讐の順番を待っているシーンが不気味でもあり、ブラックさに笑ってしまう。
心臓の弱い遺族のおばさんが夫の心配を余所に、
精神安定剤を飲んでケロッとした顔で復讐に挑むシーンがお気に入り。
『親切なクムジャさん』の満足度:★★★☆☆
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『R-Point』
白いワンピースを着た少女など、色々と意味深な要素が多いのだが、
結局それがなんなのかはわからず仕舞い・・・。
僕の解釈では、この土地は人の血を吸って生きており、
あれやこれやで殺し合いをさせるように仕向ける、
呪われた魔境なのだ・・・と、思ったのであった。
血まみれの大きな鉈を振り上げる裏ジャケを見て期待していたが、
どちらかというとメインは幽霊騒ぎなため、その点でも残念。
『R-Point』の満足度:★☆☆☆☆