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ほんの少しの勇気のドラマ
(C)2011 「阪急電車」製作委員会
阪急電車 片道15分の奇跡
婚約者を後輩に寝取られたOL翔子（中谷美紀）。DV彼と縁が切れない大学生ミサ（戸田恵梨香）。ママ友の誘いを断れない主婦康江（南果歩）。大学受験に悩む高校生悦子（有村架純）。地方出身で周りに馴染めない大学生美帆（谷村美月）。嫁に好かれていないことに気づいている時江（宮本信子）。始発から終点まで片道15分の阪急今津線には大小の悩みを抱えた人たちが日々利用している。
(C)2011 「阪急電車」製作委員会
いろんな所でいろんな人が触れ合い、すれ違う。誰でも死にたいほどでなくても悩んだり怒ったり、何某かを背負って生きている。ほんの少しのきっかけで前に進める。偶然同じ電車に乗り合わせた他人が背中を押してくれることだってある。
大好き作品を久しぶりに再見。昔住んでた街に帰った気分。阪急にも関西圏にも縁もゆかりもないのに（笑）。有川浩の連作小説を岡田惠和が脚本に仕立てて三宅喜重が映像化。この3人実に相性が良い。「県庁おもてなし課」も同じメンツ。
(C)2011 「阪急電車」製作委員会
群像劇。人生の機微。出会いっていくらでもある。あるのにスルーしてるのは自分。もしかしたら人生を変える出会いかもしれないし、最悪の出会いかもしれないし。人生を動かしたいなら、少し勇気を出してみてもいいのかな。
そんな出会いを自然に見せてくれる。原作力なのは既読で確認済み。加えて岡田脚本が見事。おそらく岡田さんは有川さんのファン。読み込んでいるからこそ、原作からの抜き足しが的確。人と人、まだまだ捨てたもんじゃない、と思える温かさ。
(C)2011 「阪急電車」製作委員会
ともすると地味である。が、キャストが豪華。実は当時、宮本、南、大杉漣以外は小ブレイク直後だったり駆け出しだったり。中谷、戸田、有村、鈴木亮平は今や大物。勝地涼も大人気。谷村、玉山鉄二も、もれなく活躍中の奇跡のキャスト。
小っちゃい芦田愛菜が宮本の孫でキーパーソン。二人は近年「メタモルフォーゼの縁側」で再共演。これまた奇跡。戸田、南、有村、芦田、鈴木、相武紗季…兵庫県出身者を多数キャスティング。ほか、大阪、京都出身も。このこだわりはかなり好き。
(C)2011 「阪急電車」製作委員会
都電荒川線、江ノ電…サイズ感の似た電車は生活圏にもある。そこに住む人々の生活に欠かせない路線であり、山手線、京浜東北線等々、都心の大型路線にはない温かさが共通点。ドラマが生まれそうな空気はあるよね。
早く着きたいので急行が混雑。車内ではスマホ見てるか、同乗者との会話に夢中で周りの人には関心なし。自分のことばっかで余裕がない。大型路線にだってドラマは転がってそうだけど…と時間をかけて各停通勤を続ける僕は思う。
DATA
監督：三宅喜重/脚本：岡田惠和/音楽：吉俣良/原作：有川浩
出演：中谷美紀/戸田恵梨香/南果歩/谷村美月/有村架純/勝地涼/芦田愛菜/高須瑠香/小柳友/鈴木亮平/高橋努/相武紗季/安めぐみ/玉山鉄二/大杉漣/宮本信子
hiroでした。
