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家族ってなんだかんだで愛だよね

(C)2021 映画「そして、バトンは渡された」製作委員会

そしてバトンは渡された


高校生の優子(永野芽郁)は血のつながらない父森宮(田中圭)と暮らしている。クラスでも浮いている優子は卒業合唱のピアノを押し付けられるが、放課後の音楽指導でピアノの上手い同級生早瀬(岡田健史)と出会う。泣き虫のみったん(稲垣来泉)は母を亡くし、父の秀平(大森南朋)に育てられている。ある日、会社の人だという梨花(石原さとみ)が現れ、二人は結婚する。


C)2021 映画「そして、バトンは渡された」製作委員会


「号泣」が話題だった本作。あまりに感想が画一。共感しないといけない空気ができると、むしろ避けちゃうよね。その時点で色眼鏡…というかフラットではないので、少し時間を空けてから観たほうが良い。そして観た。そして泣いちまった(笑)


時系列いじりは割と早い段階で気付く。後は人物配置と順番と「名前の疑問」。名前が最後まで残ったけど、おおかた推測できてからの確認情報。わかってスッキリするパターン。スッキリした途端、一気に始まるんだよね、涙腺の満ち潮が。


C)2021 映画「そして、バトンは渡された」製作委員会


ごちゃごちゃし過ぎてないから、テーマを見失うこともない。真実がわかった後もずっと同じテーマの上に成り立っていたことに気付かされる。原作力か前田哲監督の力量か。時間をかけてじっくり作り込まれた作品、という印象。


そのテーマが親子。もっと絞れば父と娘。「できすぎた話」と言われようと父と娘だ。思い当たる方はいくらでもいる。みったんと秀平、優子と森宮は父と娘である。そのつながりは? 梨花の役割は?…触れずにおくので未見の方はお楽しみに。


C)2021 映画「そして、バトンは渡された」製作委員会


主演は永野。いつの間にか人気女優。「華がない」と思っていた僕の見る目のなさ。愛に包まれた娘を演じる本作と「母性」とのギャップが凄い。石原の役どころは詳しく書けない。多くはない映画出演のなか、間違いなくキャリアハイのキャラクター。


大森、田中、市村正親がそれぞれ「らしい」キャラクター。三者三様の…あ、ヒントになりそうで書けない。岡田健史はもっと映画仕事をやってほしい。朝比奈彩の役名が「美人先生」(笑)。木野花の存在感は静かで強い。


C)2021 映画「そして、バトンは渡された」製作委員会


大ヒットした割には「大作」の重さがない作品。連ドラでいけそうな軽さは、「僕らのごはんは明日で待ってる」の瀬尾まいこの作風?(未読)。「ヒットして当たり前」ではない地味ですらある良作が大ヒットしたのは嬉しい。


「父と娘」と書いた。が、物語を動かしているのは梨花。血がつながっていようがいまいが、家族をつなぐのは愛だ。特異な環境にあった優子ではあるが、その愛情はそこらにいる親子だって何も変わらない。それが刺さったんじゃないかな。


僕もいつか来るんだよな、バトンを渡す日が。



 DATA

監督:前田哲/脚本:橋本裕志/音楽:富貴晴美/原作:瀬尾まいこ

出演:永野芽郁/田中圭/岡田健史/稲垣来泉/大森南朋/朝比奈彩/奈緒/戸田菜穂/安藤優子/木野花/市村正親/石原さとみ



hiroでした。



僕らのごはんは明日で待ってる←瀬尾まいこ原作


こんな夜更けにバナナかよ←前田哲監督作品


君は月夜に光り輝く←永野芽郁主演