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(C)2018「こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話」

製作委員

こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話


徐々に全身の筋肉が動かなくなる難病進行性筋ジストロフィー患者の鹿野(大泉洋)は、自らボランティアを集めて自立生活を送っていた。ボランティアの医大生田中(三浦春馬)の恋人美咲(高畑充希)も巻き込まれるように参加するが、わがままな振る舞いを続ける鹿野にキレる。


(C)2018「こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話」

製作委員


トレーラーでの主人公のキャラが苦手そう。「パーフェクト・レボリューション」「37セカンズ」等似たテーマの作品を続けて観たこともあってスルーしてた本作をようやく初見。思っていたのと半分くらいは違ってたかな。


ポイントはふたつ。ひとつは「障がい者が普通に生きられる世の中を」というありがちなヤツ。ありがちなのにそれでもまだまだ浸透していない。浸透しない以上、この手の作品は繰り返しリリースしていかないといけないのでしょうね。


(C)2018「こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話」

製作委員


もうひとつは、持ちつ持たれつ。ボラの悩みに障がいを持つ主人公が一緒に取り組む。一方的な「持ちつ持ちつ」ではなく、両者の立場が対等だ。難病モノ要素を削って恋愛ドラマも組み込んだことで、本作はエンタメ性が強め。


前述の「パーフェクト…」も「37セカンズ」も強インパクト作品。一方本作はソフト。前者のハードさは大好きなのだが「誰にも受け入れられやすい」のは本作かもしれない。そういう作品が出てきたのは良い傾向なのかと。


(C)2018「こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話」

製作委員


最初の大泉の鹿野は嫌なヤツである。障がい者役でありながらもそう思わせる。観る者の「同情」する気を削ぎ、そして、徐々に鹿野とは何者かとわからせていく過程。トレーラーの「嫌な鹿野」に騙された。大泉とスタッフの策略がはまる。


大泉と共にセンターに立ったのは高畑と三浦。高畑は期待通りのお仕事。特筆は三浦。鹿野、美咲と共に物語を構成する田中を好演。話的には中心人物といって良い。国内外で評価される渡辺真起子はなぜか障がいモノに引っ張り凧。


(C)2018「こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話」

製作委員


「健常者も大変だね」…軽く放つ鹿野の言葉が実は軽くない。どこかで「障がい者は弱い」と決めつけていないか。勝手に自分を「施す側」に置いていないか。多くの方は悪気もなくそう思ってるのかも。「友達じゃないか」…そう対等なんだ。


原作は渡辺一史のノンフィクション。障がい者とその周囲の世界を構築するための、いくとおりもある中のひとつのケースである。もちろん、本作が唯一の正解ではない。自分で答えを探す行為こそが正解なのだろう。



 DATA

監督:前田哲/脚本:橋本裕志/原作:渡辺一史

出演:大泉洋/高畑充希/三浦春馬/萩原聖人/渡辺真起子/宇野祥平/韓英恵/竜雷太/綾戸智恵/佐藤浩市/原田美枝子



hiroでした。



パーフェクト・レボリューション←草分け作品


37セカンズ←オススメ!


鋼の錬金術師←新作間近のコレにも大泉出演