#31 12/20 TOHOシネマズ日比谷

逃げ場のない緊張感

(C)2022 20th Century Studios. All rights reserved.

ザ・メニュー


有名な料理人スローヴィク(レイフ・ファインズ)がシェフを務める孤島のレストラン「ホーソン」。その日招かれたセレブたちに混じって食通のタイラー(ニコラス・ホルト)に誘われたマーゴ(アニャ・テイラー=ジョイ)も島に向かう船に乗船する。島に着きテーブルに案内されるとスローヴィクのディナーコースがパフォーマンスと共に始まる。


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アニャに大注目中。本作の情報入手時点で観ると決めていたが、上映が減り始めたので慌ててスクリーンへ。お察しのとおり、シェフには計画がある。狂気が孤立した空間を支配する。逃げ場のない恐怖と緊張感で僕らもゲストの一人となる。


スタートは静か。一発の銃声。隣にいた女性客は飛び跳ねた(笑)。そこで空気がガラリと変わる。殺人ゲームの始まり、かと思えば「粋な演出」と笑う者、気にもかけずに食べ続ける者。惨劇と喜劇の境の不穏なバランスが緊張を増幅する。


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招待されたゲストには理由がある。提供されるメニューにも理由がある。徐々に明かされていくゲストの真実とシェフの怒り。完璧に計算された計画。ところがたったひとつの綻びがある。招待されていない異分子が混ざっていたことだ。


綻びに苛立つシェフVS巻き込まれてしまった客マーゴ。終盤は二人の心理戦の様相。シェフの狂気の計画から逃れる術はあるのか。小出しにされる真実をつなぎ合わせ、マーゴは切り札で勝負に出る。やや説明不足だが、考えれば考えるほど面白い。


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狂気のシェフ役にファインズ。言わずと知れた「ハリー・ポッター」シリーズのヴォルデモート。笑顔が怖い。対するアニャ。注目されている若手俳優のなかでも目力は断然トップ。「ラストナイト イン ソーホー」に続く快演で快進撃はまだまだ続く。


マーゴを巻き込んだ美食家役には「マッドマックス 怒りのデスロード」のホルト。道化役からの変貌ぶりが見事。給仕のエルサ役ホン・チャウが強烈キャラ。「ダウンサイズ」のベトナムの活動家をやってた方。お仕事が増えそうな予感。


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たしかに説明不足で粗い。他の客たちがラストでああなったのは強引だし、マーゴがヒントを得る部分は見逃しそう。まあ、その辺は想像力でカバーはできるので(正解かどうかは知らんけど)。考察が好きじゃない方はパスしてどうぞ。


芸術家肌の料理人。料理もできないのに批評したがるセレブ。たまたま巻き込まれた庶民。群像劇に見えて実はシェフとマーゴの心理戦。ブラックな皮肉たっぷりなスリラーコメディ。ご覧になる方はマーゴと共に生き残る道を探ろう。


 DATA

監督:マーク・マイロッド/脚本・製作総指揮:セス・リース/ウィル・トレーシー

出演:レイフ・ファインズ/アニャ・テイラー=ジョイ/ニコラス・ホルト/ホン・チャウ/ジャネット・マクティア/ジョン・レグザイモ/リード・バーニー



映画を撮れないのにぐだぐだ感想を述べている…

hiroでした。



ラストナイト イン ソーホー←このアニャも凄い!


ハリーポッター←ファインズ登場はこの次の作品から


マッドマックス怒りのデスロード←ホルト登場