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世界を動かした二人の物語


(C)2020 MINAMATA FILM, LLC(C)Larry Horricks

MINAMATA-ミナマタ-


回顧展を終え引退を考えていた「LIFE」報道カメラマンのユージン(ジョニー・デップ)はCM撮影に現れた日本企業のコーディネーターであるアイリーン美緒子(美波)と出会い、日本の水俣病の現状を知らされる。水俣を訪れて取材活動を始めるユージンとアイリーンだったが、企業が責任回避を画策する一方で被害者であるはずの市民の側も一枚岩ではなかった。


(C)2020 MINAMATA FILM, LLC(C)Larry Horricks


初見。みなさん「水俣病」って知ってます? 僕は「教科書に載ってた公害病」くらいの認識しかなかった。「公害」が原因で病気になることの意味も問題点も、恥ずかしながら考えたことはなかった。本作、観てよかった。


行政や民間企業の事業による健康被害が公害。問題はその責任の所在だ。当時は経済成長の最中、責任を国や企業に求める、という発想からして希薄だったかと。患者の症状や姿を忌避したり隠したり、という習慣も問題に拍車をかけたか。


(C)2020 MINAMATA FILM, LLC(C)Larry Horricks


実在の写真家ユージン・スミスとアイリーン美緒子スミスをモデルに共著「MINAMATA」をベースにしたストーリー。公害病として知られてはいても、公害病の対応は世界中で模索していた時代。そこにスポットを当てた二人の功績は小さくない。


事実と違う部分があるとか。本作はドキュメンタリーではなくフィクション。世界中で起きていた問題に一写真家が立ち上がり、世界を動かしたことが重要。それをたくさんの方に知ってほしいがための演出なのだ、と理解していただきたい。


(C)2020 MINAMATA FILM, LLC(C)Larry Horricks


製作にも名を連ねたジョニデ。老カメラマン役には違和感があるが、逆に並々ならぬ決意は伝わった。美波は初の海外作品なのかな。ほぼW主演と言っていい立ち位置で大健闘。ビル・ナイは相変わらずのナイスガイなジジイ。


ブレットトレイン」の真田広之、「ケイト」の浅野忠信國村隼、「硫黄島からの手紙」の加瀬亮…海外作品で活躍する日本人俳優多数出演。ちなみに國村さんは本作の舞台となった熊本県の出身。音楽は「ラストエンペラー」の坂本龍一


(C)2020 MINAMATA FILM, LLC(C)Larry Horricks


娯楽としての映画、記録としての映画。映画にはさまざまな役割がある。公害事件を題材に一写真家の行動を物語にした時点で本作は娯楽側の作品だ。とはいえ、未だその傷を抱えている方がいらっしゃることは事実だけに難しいところだ。


そういうことなので「水俣病の真実」というより、公害病に関心を持つ「きっかけ」と考えていただきたい。ドラマチックになってはいるが、知っておくべき病気であることには変わりないのだから。



 DATA

監督:アンドリュー・レヴィタス/脚本:デヴィッド・ケスラー/音楽:坂本龍一/原案:Wユージン・スミス/アイリーンMスミス

出演:ジョニー・デップ/美波/加瀬亮/ビル・ナイ/浅野忠信/岩瀬晶子/國村隼/真田広之



hiroでした。



パイレーツオブカリビアン←もはやジョニデの代表作


ブレットトレイン←真田広之大活躍!


ケイト←からは浅野忠信と國村隼出演