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人間は地球の支配者?

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NOPE/ノープ


空からの飛来物の直撃により父(キース・デイヴィッド)を亡くしてから牧場を継ぎ、撮影用の馬を調教しているOJ(ダニエル・カルーヤ)。ある夜、偶然、UFOのような飛行体を見かけた彼は、妹エム(キキ・パーマー)と共に飛行体の撮影をしようと機材の準備にとりかかる。機材の設置に現れた電気店のエンジェル(ブランドン・ペレア)は兄妹の様子から撮影のターゲットが何かに気付く。


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あのジョーダン・ピールだ。冒頭から阿鼻叫喚。得体の知れない恐怖に包まれる。何だ、何があったんだ。不穏な伏線から一転、広大な荒野と馬。人気のない寂しさ。こんなところで何かあっても誰も助けてくれない。「ホラー来るぞ」とビビる。


ところが来ない。むしろSF、いやパニック。トレーラーのとおりUFO(らしきもの)との遭遇である。が主人公たちは逃げない。対抗手段は撮影。カメラマン含め大義名分として一攫千金やスクープを口にする。なのにギラギラした空気は薄い。


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人と動物の関係が描かれる。馬を調教したかと思えば、調教されたチンパンジーが事件を起こす。人は動物をコントロールできるのか。生き物の連鎖の頂に立てているのか。後にJJと名付けられるそれは圧倒的な力で人よりも上に立とうとしている。


撮影の目的は本当にお金や名誉なのか。JJに対してマウントをとることではなかったか。人間は地球上の生物を「支配した」と勘違いしている。実は支配など何もできてない。「動物」「連鎖」「支配」…そんなテーマが見え隠れしてくる。


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ピールの監督作品「ゲットアウト」で一躍トップアクターに名を連ねたカルーヤ。目の演技巧者である。本作でも不安、決意を言葉でなく目で伝える。言葉にする普通の目になるから不思議。妹パーマーはチーム「ハスラーズ」の一人。歌も歌う人。


見た目も良いペアレが三番手の位置に入ったことで物語が動く。「ウォーキング デッド」のスティーヴン・ユァンがいる。見るたびにあのシーンが蘇るので困る。マイケル・ウィンコットの佇まいがカッコ良すぎる。年齢の重ね方の目標にしたい。


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太古、肉食獣の前に現れたホモサピエンスはJJのような存在だったろう。食うか食われるか、互いに引けない戦いだ。地球の新たな支配者にならんとするJJと人間の戦い。それを描く一方で支配する者のエゴも描く。ピール監督のいやらしさだ(笑)


雲をぼぉっと眺めることがある。動かない雲には気をつけよう。本作、なんのレイティングもかかってないようだが、お子様連れはご注意。ゴーディー事件はトラウマになるかも。あと、日本のアニメ好きな方は「あ!」となるよ(笑)



 DATA

監督・脚本・製作:ジョーダン・ピール/脚本:イアン・クーパー

出演:ダニエル・カルーヤ/キキ・パーマー/スティーヴン・ユァン/ブランドン・ペレア/キース・デイヴィッド/マイケル・ウィンコット



hiroでした。



ゲットアウト←ピール監督代表作


us←これもピール作品


ハスラーズ←キキ・パーマー出演