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おジャ魔女世代の処方薬
(C)東映・東映アニメーション
魔女見習いをさがして
教員を目指す名古屋の大学生ソラ(森川葵)、東京の商社勤めの帰国子女ミレ(松井玲奈)、男運の悪い広島のフリーターレイカ(百田夏菜子)。住む地域も年齢も違う3人の共通点はテレビアニメ「おジャ魔女どれみ」にはまっていたこと。鎌倉のおジャ魔女の聖地で偶然出会った3人は意気投合。連絡先を交換してまた会う約束を交わす。
(C)東映・東映アニメーション
「おジャ魔女どれみ20周年記念作品」を初見。後日談やサブキャラを主人公にしたスピンオフはよくある。本作、題材のアニメ作品を「観ていた人」が主人公。おジャ魔女は未体験ながら、この斬新なアプローチに公開時から引っかかりまくってた。
オリジナルキャラは「イメージ」として登場するのみ。一人ひとりに向き合えない教育現場に疑問を感じ、縦社会の洗礼を浴び、流される自分に嫌悪感抱く。魔女っ子アニメの片鱗すら感じさせないリアルな大人のストーリー。なんだこれ凄い。
(C)東映・東映アニメーション
企画としては斬新だが、例えばこれが実写だったらありがちなストーリー。「子ども向けだし懐かしいし」と子連れで観た若いママは「あれれ?」ともなる。お子ちゃまなどは呆然とするのだろう。そういう方面のツッコミは当然予測される。
①かつておジャ魔女にはまり、②大人になって壁にぶつかっている。そんな方ならほぼ間違いなく刺さりまくるのではないか。自分を見失い八方塞がり。そんな時、一緒にいてくれる仲間がいれば、唱える魔法があれば、きっとうまくいくのだ、と。
(C)東映・東映アニメーション
「嘘八百」シリーズ、「賭ケグルイ」シリーズでお馴染み森川は本格的な声優は初では。役柄と同じ愛知県出身。同じく愛知県のスター元SKE松井は東京のシティガール役。実年齢に近い「お姉さん」キャラは自然体なのだろう。
静岡生まれの週末ヒロイン百田は、朝ドラ出演こそあれ演技経験も浅い。演じるのは3人のうちの末っ子ポジション。3人が関わる男性キャラには三浦翔平、浜野謙太、と本職石田彰が担当。ちょっと出てくるおジャ魔女たちはオリジナル声優が参加。
(C)東映・東映アニメーション
あえてオリジナルの主要人物を出さず、世界観すら共有しない。オリジナルをコンテンツとして扱うという大冒険。おジャ魔女ファン以外も開拓しよう、という意欲的な試み。こういうチャレンジは好き。なんでもやってみたほうがいい。
迷いの中にいる20代の女性の方は、おジャ魔女をちょっとかじったレベルで刺さるはず。例えば「しんどい」と自覚した時「これを見れば少し救われる」…そんな作品が一本あると心強いよね。かじってもいない50代男子は蚊帳の外だが(笑)。
DATA
監督:佐藤順一/鎌谷悠/脚本:栗山緑/原作:東堂いづみ
出演:森川葵/松井玲奈/百田夏菜子/石田彰/三浦翔平/浜野謙太/千葉千恵巳/秋谷智子/松岡由貴/宍戸瑠美/宮原永海/石毛佐和/厚切りジェイソン/大谷育江/永澤菜教
hiroでした。