NETFLIX


どんな記憶も永遠に

桜のような僕の恋人


新人美容師の美咲(松本穂香)に恋したフリーターの晴人(中島健人)。カット中に耳を傷つけられたことをきっかけに美咲をデートに誘うが、カメラマンになる夢を諦めたことを打ち明けると、諦めるなと怒鳴られてしまう。気持ちを切り替えて本気でカメラマンを目指すために写真事務所に入った晴人は美咲と再会し、そのことを報告し、好きだと告白する。付き合い始めた二人だったが、その頃から美咲はたびたび体調を崩すようになる。



中島健人。セクシーにお礼を言われてもキュンとこないし、テレビドラマの中島も「軽さ」に入っていけない。ところが、映画の中島は「かなり好き」率がとても高い。歌い、踊り、バラエティで笑いを誘うアイドル主演のNETFLIX作品を初見。


早老症とは難病指定されている原因不明の遺伝子病である。徐々に「見た目」が老いていく複数の疾患の総称なのだそうだ。日本人に多いのがウェルナー症候群。20代から発症するというから、本作の設定はおそらくそれ。治療法は確立されていない。



原作未読だが、本作での病気の掘り下げは皆無。なので病気の認知を広める意図はうすい。晴人目線だと「恋愛ドラマがベース」となる。が、美咲目線は少し違う。「見た目」が老いるのは本人には衝撃である。恋愛真っ只中であればなおのこと。


会いたいけど会えない。「見た目」の問題なのか、一緒に生きられない「時間」の問題なのか。いくつもの壁が美咲の前に立ちはだかる。乗り越えようと一歩踏み出した美咲は、残酷な現実の洗礼を受ける。女性のほうが刺さる物語ではないか。



セクシーサンキュー・ケンティ中島は天才ですか。あの顔であの陽性キャラ。なのに「シャイな普通の男の子」が絶妙にフィットする。しかもモテない男を演じさせるとホントにモテなく見える。あの顔でモテないのだから凄みさえ感じる。


上映時間の半分近く顔を隠した松本。演技者として「顔を売る」というメリットを犠牲にした熱演と覚悟に拍手。若僧キャラを拭えない永山絢斗の頼り甲斐のある兄役は新鮮。好きな顔ランキング急上昇中(独断)の桜井ユキも大いに堪能。




病気のこと、この程度で良いのか…といつも思う。数は少なくても苦しんでいる方がいる。スターが演じるのなら周知のチャンス。もったいない気はする。が、結末が予想できちゃうのがちょっとね。リアルに苦しんでいる方には希望を与えたい。


こんな恋愛をした人って、この先引きずるのではないか…とも思う。その時の輝きや幸福感。忘れられないのなら、いっそ大切にしまっておこう。カメラや写真をそのアイテムとしたのは本作の工夫。その記憶は関わった人々の心のフィルムに永遠に。



 DATA

監督:深川栄洋/脚本:吉田智子/原作:宇山佳佑

出演:中島健人/松本穂香/永山絢斗/桜井ユキ/俊太郎/若月佑美/要潤/眞島秀和/及川光博



hiroでした。

(画像は映画.comなどより引用)



銀の匙←ケンティやるじゃん!と思った作品


ココサケ←ケンティ凄え!と思った作品


蒼くて痛くて脆い←松本穂香出演