NETFLIX


カリスマと魔性

パワー オブ ザ・ドッグ


モンタナで牧場を経営するフィル(ベネディクト・カンバーバッチ)とジョージ(ジェシー・プレモンス)の兄弟。町でレストランを営むローズ(キルステン・ダンスト)とジョージが結婚したことで不機嫌な態度をとるフィル。一方のローズもフィルにイラつき酒に溺れていく。そんな中、ローズと前夫との子ピーター(コディ・スミット=マクフィー)が牧場を訪れ、一夏を過ごすことになる。



NETFLIXオリジナル。例えば…両チームともチャンスがないまま0対0で迎えた9回裏にソロホームランでサヨナラ…みたいな作品。ジャンル情報すらなしで鑑賞。序盤は男の美学+モラハラが続く。女性監督だ。そこからのMeToo展開なのかと予測。


ハズレ(笑)。LGBTs? いや、思春期の少年の目覚め的なヤツ? カンピオン監督に終始翻弄され作品に乗っかれない。観る側をわざと乗せない手法というのもあるんだな。それもラスト数分のため。ラスト数分…そこですべてがひっくり返る。



周到すぎ。ボーッとしてたらひっくり返ったことすら気がつかない。しかも一切説明なし。エンドロールが始まって「…ってことは」と仮説を立て、張られた伏線に気づいてようやくたどり着く真相。映画に慣れてない人にはこれ難しいよ。


広大な自然風景が圧巻。これはスクリーン向きだ、と思う反面、暗いシアターでは寝てたかも(特に序盤)とも思ったり(汗)。音楽は西部劇っぽいのだが悉くキーがマイナー。どこか不穏な空気を醸しているのも伏線のひとつ。



トップクレジットはカンバーバッチ。男の美学を追求するカウボーイを熱演。彼が「ピーター!」と呼ぶとヒット映画を思い出してニヤニヤしてしまう。その対極で女の情を見せたのがダンスト。MJもいつの間にか母役だ。


大物二人がセンターなのだが、本作の核は間違いなくマクフィー。細い体躯、白い肌、長い手足、大きな目。弱々しいビジュアルに引き込まれ、見ている側もやられてしまう。「ラストナイト イン ソーホー」のトーマシン・マッケンジーを見つけ歓喜。



カリスマカウボーイのフィル。暴君でもある彼の抱える苦悩を知ってからは見方も変わる。フィルのアドバンテージが失われる瞬間が瞼に焼き付く。牧場の王は「魔性」の前では抗う術もなかった。


正直、観ている最中「これおもんないかも」と思ってた。ラストのワンカットはおそらく監督の計算ずく。投げ出さなくてよかった。ネタバレNG前提なので、要領を得ない部分はご覧になって確認を。



 DATA

監督・脚本:ジェーン・カンピオン/原作:トーマス・サヴェージ

出演:ベネディクト・カンバーバッチ/キルスティン・ダンスト/ジェシー・プレモンス/コディ・スミット=マクフィー/トーマシン・マッケンジー/ジェネヴィエーヴ・レモン

*画像は映画.comより引用しています。



hiroでした。



スパイダーマンNWH←カンバーバッチ出演


ジュマンジ←ダンスト子役時代


ラストナイト イン ソーホー←のマッケンジー発見