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若い時から完成領域だった蒼井優!

百万円と苦虫女


ちょっとしたことから刑事訴訟を起こされ罰金刑となった鈴子(蒼井優)。拘置所から戻ってくると自分のトラブルからギスギスしてしまった家族の様子に居たたまれなくなり、100万円貯めたら家を出ると公言する。自分のことを誰も知らない街に住みたいと考える鈴子は引越し代を貯めては転々とする生活を繰り返す。



蒼井優による一種のロードムービーを初見。タイトルからもっとトゲトゲしたヤツかと思ってた。そういえば監督はタナダユキ。サクサクっとしたタナダユキらしい優しさと蒼井の孤独を纏った演技とが妙にブレンドされた雰囲気のある仕上がり。


「一種の」としたのは旅ではなく主人公がそこに住むから。通りすがりではなく、住んでこそ見える街の風景がある。大きく捉えると「人生という旅」であり主人公の成長も描いているからロードムービーではあるのだが、変化球を使ってきた感じ。


ある事件から始まり、海編・山編・街編で構成。行く先々でいろんな人と会い、いろんな事件に巻き込まれ、という展開。いいこともあり、悪いこともあり。最後には恋愛も経験する鈴子。やっと一歩踏み出せると思ったら…。



主演の蒼井、撮影当時は二十歳をちょっと過ぎた頃かと。年齢相応のみずみずしさがありながら、演技としてはすでに完成領域なので驚愕。存在感は貫禄すら感じられる。今後も長きにわたって映画界を支える俳優になるのであろう。


ピエール瀧が出るとつい警戒してしまうのだが珍しくいい役。考えてみればタナダ作品だものね。森山未來が青春だ。こうして見るとまだ演技は上手ではないかな。平岩紙安藤玉恵江口のりこキムラ緑子…「いると安心」という方々がいっぱい。


何かから逃げている鈴子。人々との出会いが人生を変える、のかといえばそうでもない。鈴子の背中を一番強く押したのは「学校でいじめにあっている」弟だったというオチ。その弟役齋藤隆成くん、重要な位置でナイス演技。


弟くんの逃げない姿勢は良いのだけど、どうしてあんな酷いいじめを受けるのかが、よくわからなかった。そこが主題じゃないからいいのかな。最後、二人は会わせてあげたかったけど、ハッピーエンドじゃないのがリアルなのかな。



 DATA

監督・脚本:タナダユキ

出演:蒼井優/齋藤隆成/森山未來/ピエール瀧/竹財輝之助/平岩紙/弓削智久/斎藤歩/安藤玉恵/石田太郎/堀部圭亮/江口のりこ/嶋田久作/モロ師岡/矢島健一/キムラ緑子/笹野高史/佐々木すみ江

*画像は映画.comより引用しています。



hiroでした。



四十九日のレシピ←タナダ作品


ロマンス←もタナダ作品


彼女がその名を知らない鳥たち←蒼井優主演