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日本人よ、目を覚ませ!

(C)2020 Silent Tokyo Film Partners

サイレントトーキョー


クリスマス間近の東京。爆破予告のあった恵比寿を訪れたテレビクルー栗栖(井之脇海)は犯人に指示されたという山口(石田ゆり子)と接触。爆弾はダミーだったものの二人は姿を表さない犯人の犯行声明と次の渋谷での爆破に協力させられる。聞き込み捜査中の刑事世田(西島秀俊)は現場近くに住む須永(中村倫也)の態度に不信感を抱く。


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もしも、人でごった返す東京の街が爆弾テロの標的になったら…そんな有事のシミュレーション。緊急事態宣言の明けた渋谷ハロウィンの様子を見ていると本作の情景があり得ないとは言えないので怖い。劇作家秦建日子の原作を映像化した作品を初見。


秦氏演出による舞台劇になってるからか、スケールの割に会話劇がメイン。映画的な見せ場である爆破シーンが渋谷駅前スクランブル交差点のみ。ここがCG交えてなかなかエグい。平和ボケした日本国民に怒りの鉄槌といったところか。


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ということで、クライマックスが中盤に来てしまった(汗)。その後の政府対応を責めるばかりで死傷者に無関心な報道に違和感。なんの根拠もなく「自分は大丈夫」と平和ボケしてる人々とはいえ、命の扱いが軽い気がした。


人の掘り下げも浅い。世田が雰囲気はあるのだが人物も刑事としてのスキルも中途半端。容疑者の側の人々もあの結末に走る理由に素直に頷けない。テレビマン栗栖とふつうの会社員真奈美(広瀬アリス)はよく描けてたけど。


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主役はクレジット的に佐藤浩市・石田ゆり子・西島秀俊の3人ということか。出演時間としては西島くんになるのだが、前述のように浅い。浩市さん、ゆり子さんも不完全燃焼だったのでは。倫也くんが映画的にはキーマンの役どころ。


テレビにCMに映画に大活躍の井之脇くんは子役出身。本作で抜群の存在感。アリスちゃんも求められる以上の仕事だったか。勝地涼が前半だけの可哀想な役。金井勇太はもっと可哀想な序盤だけ。鶴見辰吾はついに歴代総理大臣俳優に名を連ねる。


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原作、舞台版がどうなのかは不明だが、映画版は想定どおりだったのか。平和ボケした日本人への警告は伝わった。が、それだけで終始。危機の回避や有事の心得、そんなもののちょっとしたヒントもなかったので、恫喝で終わっちゃったかな。


批判しないことを原則としている。作り手に直接聞いたわけでもないのに偉そうに言える立場でもないので、あくまで感想レベル。波多野監督の作品では「S.P.」に近い空気だったかな。



 DATA

監督:波多野貴文/脚本:山浦雅大/原作:秦建日子

主演:佐藤浩市/石田ゆり子/西島秀俊/中村倫也/広瀬アリス/井之脇海/勝地涼/加弥乃/金井勇太/野間口徹/財前直美/鶴見辰吾



hiroでした。



空母いぶき←佐藤浩市が総理役で西島秀俊と共演


記憶にございません!←佐藤浩市・石田ゆり子共演


オズランド←西島秀俊・中村倫也共演の波多野作品