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吉岡里帆史上最強作!
(C)2018「音量を上げろタコ!」製作委員会
音量を上げろタコ!
なに歌ってるのか全然わかんねぇんだよ‼︎
声帯ドーピングによって脅威のハイトーンボイスを手に入れたロックシンガーのシン(阿部サダヲ)。薬の副作用でライブ中に吐血し、ハイテンションなままバイクで街を走り回るシンは通りかかった声の小さいストリートミュージシャンのふうか(吉岡里帆)と接触し気を失う。ふうかは血だらけのシンを知り合いの医者に連れて行く。
(C)2018「音量を上げろタコ!」製作委員会
なにこれ、おもろ。声の小さいふうかがシンと同じドーピングをして売れっ子になる喜劇、と思ってたが裏をかかれた。そうか、三木監督だった。笑いの中にちゃんとメッセージを入れてくる。ラストで迂闊にもホロリとくるコメディを初見。
これ、とにかく音楽がいい。オープニングを飾るシンのパンクから、ラストのふうかのアコースティックまで、バラエティ豊かで完成度が高い。本物アーティストが楽曲提供しているらしく、ラストはあいみょんだと! ダウンロードしちゃったよ。
(C)2018「音量を上げろタコ!」製作委員会
序盤、パンクだけに少々うるさい。それもアップテンポへの助走。早い場面展開もあって小気味良く話は進む。デビルおばさん(ふせえり)もザッパおじさん(松尾スズキ)も濃厚キャラで舞台のよう。ふうかのスローペースがオアシス効果。
「やらない理由を探す」…シンの言葉が刺さらない人なんているのだろうか。音量を上げろ。小さい声では思いは伝わらない。ストレートなメッセージには頷くしかない。走り続けて国境まで越えたラストは思いがけない展開に。
(C)2018「音量を上げろタコ!」製作委員会
阿部、松尾と揃うと大人計画の空気ができる。パンクロックなのでより濃厚。そこにキャラの薄い里帆ちゃんが絡む。このブレンドが絶品。演技巧者とはいえない(失礼!)里帆ちゃんの良さを100%引き出した三木監督のキャスティングに拍手。
三木監督の奥様がふせえりだとは知らなかった。本作でも存分に毒を吐く。千葉雄大が負けじと毒を吐く。三木組と言っていい麻生久美子も猛毒だ。田中哲司に森下能幸に岩松了…毒を持ってない人がいない。バイキング小峠英二がまとも(笑)
(C)2018「音量を上げろタコ!」製作委員会
もっとグダグダしてるヤツかと思ってたので得した気分。W主演の形だがセンターは「吉岡里帆」。芸達者たちが揃って若き座長を担ぎ上げ、その魅力を最大限に引き出した。里帆ちゃんは身を任せているだけでキャラが作り上げられていくという寸法。
そして歌うま。劇中歌「夏風邪が治らなくて」もエンディング「体の芯からまだ燃えているんだ」も楽曲として好き。本作のオリジナルコンピレーションアルバムもおすすめ。
DATA
監督・脚本:三木聡/音楽:上野耕路
出演:阿部サダヲ/吉岡里帆/千葉雄大/田中哲司/麻生久美子/小峠英二/森下能幸/岩松了/ふせえり/松尾スズキ
hiroでした。