#20 10/23 109_GP

冴えるヴィルヌーヴの重低音とカメラワーク

(C)2020 Legendary and Warner Bros. 

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DUNE/デューン砂の惑星


価値ある香料が採取できる星アラキスの統制と香料の採取を帝国から命令されたアトレイデス家。当主のレト(オスカー・アイザック)はそれを受け、後継者のポール(ティモシー・シャラメ)、その母で愛妾のジェシカ(レベッカ・ファーガソン)らと砂漠に覆われた星へ移住する。機材の老朽化、土着部族フレーメンの不服従、凶暴な生物「砂虫」の脅威など問題が山積しているこの配置には勢いのあるアトレイデス家を滅ぼす帝国の陰謀があった。

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1965年のハーバートの小説発表以降、アレハンドロ・ホドロフスキー、デイヴィッド・リンチらが映像化に挑み本作が実に5度目。いずれも小説の壮大さから映画の時間枠では収まり切らず、成功したとは言い難い。ホドロフスキーなどは映像化断念。

二部作、三部作も珍しくない昨今。時間制約がなくなった今、壮大なプロジェクトが再起動。監督はドゥニ・ヴィルヌーヴ。「メッセージ」に感動し「ボーダーライン」に震え「ブレードランナー2049」で歓喜した僕には「観ない理由がない一本」だ。

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2時間半の長さに戦々恐々しながら鑑賞。ヴィルヌーヴといえば重低音が包み込む音響。加えて音楽担当がハンス・ジマー。IMAX以外の選択肢なし。結果大正解。配信されたら観よう、では音の再現は不可能。映画館で観なきゃいけないスケールだ。

映像も然り。船も町も砂漠も虫も何もかも巨大。大地から煽ったり空から見下ろしたり。目線を意識したカメラワークが上手い。複雑だと言われるストーリーも、最初は聞き慣れない言葉に右往左往したものの自然に把握できていく展開は脚本の妙。

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注目はティモシー。「君の名前で僕を呼んで」などで少年と青年の間の繊細さを誇示した次世代筆頭。SF、大河、大作というのがピンと来なかったが、心配無用。繊細なまま大作主役を全う。「グレイテスト・ショーマン」のファーガソンが母役。

スパイダーマン」のゼンデイヤ、「アベンジャーズ」のジョシュ・ブローリン、「アクアマン」のジェイソン・モモア、「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」のデイヴ・バウティスタ…よく見る面々が難解と言われるストーリーをわかりやすくする。

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ロード・オブ・ザ・リング」を彷彿させる構成、「風の谷のナウシカ」に似た世界観。羽ばたき機などは「天空の城ラピュタ」のよう。原作は「スターウォーズ」に影響を与えたっていうし。SFの世界ってつながってるんだなあ。

本作「PART ONE」とある。過去作未見なのでストーリーは不明だが、本作は全体の半分くらいとのこと。本作の結果次第だった続編制作も決まったらしい。まずはひと安心。公開が楽しみ。


 DATA

監督・脚本・製作:ドゥニ・ヴィルヌーヴ/脚本:エリック・ロス/ジョン・スペイツ/音楽:ハンス・ジマー/原作:フランク・ハーバート
出演:ティモシー・シャラメ/レベッカ・ファーガソン/オスカー・アイザック/チャン・チェン/ジョシュ・ブローリン/ジェイソン・モモア/ステラン・スカルスガルド/デイヴ・バウティスタ/ゼンデイヤ/ハビエル・バルデム/シャーロット・ランプリング


hiroでした。