WOWOW鑑賞

「25年」の使い方がうまい
バッドボーイズ フォーライフ

女子刑務所で脱獄事件が発生。逃げたのは警察との銃撃戦でギャングの夫を失ったイザベル(ケイト・デル・カスティーリョ)。獄中出産で生まれた息子アルマンド(ジェイコブ・スキーピオ)と共に復讐を企む。同じ頃、娘に子供が産まれ晴れておじいちゃんになったマイアミ警察のマーカス(マーティン・ローレンス)は激務を離れ静かに暮らそうと考える。幼馴染の相棒マイク(ウィル・スミス)は納得いかず翻意させようとしていた矢先に何者かに撃たれる。


シリーズ3作目になるのだが前作「バッドボーイズ2バッド」から17年、1作目「バッドボーイズ」からは実に25年にもなる。1作目はスミスの出世作。当時はローレンスのほうが格上だった。スミスにとって本作は大切な作品というわけだ。

これまで同様ジェリー・ブラッカイマーが製作に当たっているがマイケル・ベイ監督は降板。ベイといえばスクリーンサイズを意識したダイナミックな映像。そのストロングスタイルが影を潜めたのはいささか寂しい。ベイの代名詞だものね。


一方で前作まで雑味さえ感じられたストーリー(あれはあれでベイらしさだけど)は確実に強化。25年のリアルな時間経過を生かしてのキャラの配置で人物相関は自然。コンラッド警部(ジョー・パントリアーノ)含めメンバーの歳の重ね方も丁寧。

「バッドボーイズらしい?」というと話は別。25年経っても同じことをできるわけでもないし、作る意味もない。疲労感さえ残る個性派大作に対して落ち着いて観れるスタンダードな刑事ドラマ。どっちがいいかはお好み次第。本作、僕は嫌いではない。


スミスはかなり体を絞った。もう少し緩いほうが年齢感は出せたかも。ローレンスはいい感じで加齢。引退も考えるわな、という立ち居振る舞い。パントリアーノが出ていて歓喜。二人がいるのは警部のおかげ、なのにちょっとかわいそうな扱い。

パオラ・ヌニェスはチームリーダーとして存在感を示してたと思ったら…続編ありならきっと偉くなってるはず。ヴァネッサ・ハジェンズアレクサンダー・ルドウィグチャールズ・メルトンのチームメンバーも続編が待ち遠しいはず。


いつまでも若いときのような活躍はできなくなる。僕もそういう年齢だからか妙に共感。マーカスの気持ちはよくわかる。ところがリアルな高齢社会はそれを許さない。まだまだ働かなきゃいけないんだってさ。トホホ。

ちなみに生みの親の一人マイケル・ベイがカメオ出演しているので、興味のある方はお探しください。


監督:アディル・エル・アルビ/ビラル・ファラー/脚本:クリス・ブレムナー/ピーター・クレイグ/ジョー・カーナハン/製作:ジェリー・ブラッカイマー/ウィル・スミス
出演:ウィル・スミス/マーティン・ローレンス/パオラ・ヌニェス/ヴァネッサ・ハジェンズ/アレクサンダー・ルドウィグ/チャールズ・メルトン/ケイト・デル・カスティーリョ/ニッキー・ジャム/ジェイコブ・スキーピオ/ジョー・パントリアーノ


hiroでした。