WOWOW鑑賞


お化け屋敷のカオスを体感!

HOUSE


お嬢様学校の演劇部のオシャレ(池上季実子)は夏合宿の場所に困っていた部員に長年会っていなかったオバチャマ(南田洋子)の屋敷を提案する。合宿当日、顧問の東郷(尾崎紀世彦)が事故で遅れ、生徒だけで高原のオバチャマの家に向かう。オバチャマに歓迎された七人の部員だったが、一人が行方不明になり、残された六人も家の中でも奇妙な現象に遭遇する。


1977年、故大林宣彦監督の商業映画デビュー作。当時の日本映画においてフリーの映像作家(当時の大林はCMディレクター)の監督起用も初ならプロデューサー兼務も稀。それまでなかった映像表現のために外部技術者を起用したのも画期的だった。

まだある。ハリウッドでブームだったオカルトホラーを一般向けに製作したのも珍しい。そこにアイドル路線の女優たちを投入するに至っては当時としては驚愕レベル。そんなお初だらけのレジェンド作。大林宣彦って、いろんな意味ですごかったんだ。


そんな作品を初見。蓋を開けたら更なる驚愕。スタートはキラキラアイドル映画。オバチャマ屋敷への道中はギャグ満載のコメディ。ホラーパートが始まるとチープな小道具は置いといて、なんとも形容し難いサイケな演出。なんじゃこれ、いいじゃん!

77年でしょ。それまでこんなアバンギャルドな作品なかっただろうし、今も逆にチープすぎて有り得ないだろうし。この時代のこの時にしかできない逸品ではなかったか。笑いと恐怖と楽しさが混在するカオス・エンターテインメント。


クールなお嬢様オシャレは季実子姐さん。実は桃園の血筋のリアルお嬢。当時18歳で胸まで披露する大胆チャレンジ。キャーキャー言ってるファンタは大場久美子。実は当時大ファンだった。レコードデビュー直前出演の本作、40年越しの満願成就。

ガリガリやってるガリの松原愛はラジオドラマ「愛と誠」のヒロイン。ドラマ版の季実子さんとは「愛と誠」つながり。バキバキやってるクンフーの神保美喜は当時映画にテレビに引っ張り凧の人気者。長身・美脚でカッコいい。大女優南田さんはラスボスの貫禄。


遊園地のお化け屋敷のようなジェットコースター・ファンタジー・コメディ・ホラー。ハウス、ファンタ、マック…タイアップ名称続出で残念ながら現在地上波放送は不可。近年、海外の日本映画マニアに発掘され人気が再燃。ご縁があればぜひ。

これが山口百恵・三浦友和主演「泥だらけの純情」と同時上映だったというのにもビックリ。


監督・製作:大林宣彦/脚本:桂千穂/音楽:小林亜星/ミッキー吉野
出演:池上季実子/大場久美子/松原愛/神保美喜/佐藤美恵子/宮下昌代/田中エリ子/小林亜星/ゴダイゴ/笹沢佐保/檀ふみ/三浦友和/尾崎紀世彦/鰐淵晴子/南田洋子


hiroでした。