WOWOW鑑賞

潜水艦映画は「音」の映画
ハンターキラー 潜航せよ

ロシア海域を航行中の米潜水艦USSタンパベイが何者かの攻撃で撃沈。調査のため、グラス(ジェラルド・バトラー)が艦長に着任したばかりの潜水艦USSアーカンソーが現地に向かう。同時にビーマン(トビー・スティーヴンス)率いるネイビーシールズの特殊部隊を地上から派遣するが、送られてきた映像には監禁されたロシア大統領(アレクサンドル・ディアチェンコ)の姿があった。


私事だが狭いところは苦手。エレベーターとエスカレーターならエスカレーターを選ぶ。どんなに才能があったとしても狭い艦内で長期間暮らす潜水艦乗りにはとてもなれない。なのに「レッドオクトーバーを追え」も「クリムゾンタイド」も好物。

潜水艦には当たり前だが窓がない。なので目視ではなく海図とソナーで航行する。ソナーを打って音が何秒で戻ってくるかで周りの障害物や海底までの距離を探知する。目隠しして進むようなもの。夜空を飛ぶコウモリと同じね。凄くないですか?


ソナーは戦時にも使われる。水は音を伝える。つまり艦内の話し声や物音は実はダダ漏れ。音を確認したらソナーで索敵して捕捉して魚雷を撃つ。捕捉されないよう乗員は音を立てない。敵のソナーが艦を打つその音はロックオンされたことを意味する。

この音をめぐる緊張感がたまらない。本作もその系統かと思いきや、海中と陸上の二面作戦。なので海中の緊張感は少なめで閉塞感もあまりない。潜水艦モノというより軍事サスペンスの色合い。「それなら観ようか」という方もむしろ多いかと。


本作、製作にも加わったバトラー。ロマンスからアクションからミュージカルからサスペンスから…振り幅が広い。探してもなかなか見つからないゲイリー・オールドマン。実は最初から出てたという変幻自在。が、二番手扱いのビジュアルは違和感。

潜水艦乗員、シールズ隊員等々多くのキャストが無名。ロシア大統領はじめその周囲にもロシア系俳優を配したのか、やはり無名。ところが彼ら無名の士が大活躍。本作好評の理由がわかった気がする。有名なコモンは珍しく暗殺者ではない(笑)


第三次世界大戦勃発の危機。映画によくいる、やられる前にやっちまえ、って輩。そんな喧嘩っ早いヤツがホントに行政側にいるんだろうか。一方で、国や軍の括りを抜きに「船乗りの情」を信じる漢。嘘くさくても、そういうストレートさはいいね。

潜水艦モノ特有の緊張感は物足りないけど、大変美味しゅうございました。


監督:ドノヴァン・マーシュ/製作総指揮・脚本:アーン・L・シュミット/脚本:ジェイミー・モス/原作:ジョージ・ウォーレス/ドン・キース
出演:ジェラルド・バトラー/ミカエル・ニクヴィスト/トビー・スティーヴンス/カーター・マッキンタイア/キャロライン・グッドール/アレクサンドル・ディアチェンコ/ミハイル・ゴア/コモン/リンダ・カーデリーニ/ゲイリー・オールドマン


hiroでした。


レッド・オクトーバーを追え ←潜水艦といえば①


クリムゾン・タイド ←潜水艦といえば②


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