WOWOW鑑賞

二人の怪演でお腹いっぱい
ーかさねー

子どもの頃の虐めで顔に傷を残した累(芳根京子)。元女優の母(檀れい)の法事に現れた芸能プロダクションの羽生田(浅野忠信)の誘いで所属女優ニナ(土屋太鳳)の舞台を鑑賞するが、ニナは容姿こそ美しいが上手いとは言えない演技だった。終演後ニナに引き合わされた累は羽生田にニナの代役を持ちかけられる。羽生田は累の持つ口紅の秘密を知っていた。


コミック原作。美醜がテーマなんだろうけど傷があるだけの芳根さんの顔なもんで説得力に欠ける。原作は感じ違うのかな。そもそもアイドルならともかく演劇の世界、こんな極端な顔偏重ってあるのでしょうか。

それでも序盤はハラハラもあり、ネガティヴに生きてきた累が生まれ変わる件はドラマ性があって引き込まれる。最初、イニシアチブを取っていたニナが人生を乗っ取られる不安を抱きはじめ、後半はミステリー展開に。


累の変心、羽生田の本心、口紅の真相、ニナの反撃…まではまぁ予測できるけどエンタメ的で良い。だけども「美への渇望」は棚上げされて「裏の裏の裏」的な流れに。意外性には飽き気味で今や意外でもなんでもない。

若い作家さんはバッドエンド好き?(ネタバレ気味!)バッドならなんでもいいのでしょうか。バッドエンドは主人公に「哀しさ」がなければ成立しないと思う。この物語は誰にも「哀しさ」が感じられない。


太鳳ちゃん、芳根さん、共に同じ見た目のまま二人の人物を演じる。これは面白い試み。芳根さんは本作で「できる子」と認識。ハードル上がり、これからも楽しみ。太鳳ちゃんは汚れ役は希少。ちゃんと汚れてたし「下手に演じる」のもこなしてたのでプラス評価。

二人見てるだけでお腹いっぱい。横山裕くんは嫌いじゃないけどキャスティングミスだったかな。


原作はホラーでよいの? 怪談とか演劇とかミステリーとかサスペンスとか色んなの混ぜてたらなんとなくできちゃった感じ。佐藤祐一監督は「キサラギ」とか好きなんだけど…。

実は「魍魎の匣」的ショッキングなラストまで想像した。あれくらい振り切れば救いがあったのかも。


監督:佐藤祐一/脚本:黒岩勉/原作:松浦だるま
出演:土屋太鳳/芳根京子/浅野忠信/横山裕/村井國夫/筒井真理子/生田智子/檀れい


hiroでした。