NETFLIX

邦画生涯ベストワン作品
アヒルと鴨のコインロッカー

大学生活を送るために仙台市に引っ越してきた椎名(濱田岳)は隣の部屋に住む背の高い男・河崎(瑛太)に「隣の隣の部屋にガイジンが住んでいる。彼に広辞苑を送りたい。一緒に本屋を襲って広辞苑を奪わないか」と持ちかけられる。


日本映画の生涯ベスト。トリッキーなストーリーにまずぶっ飛ぶ。観終わって「あぁそういうことか」と。原作小説はそこをどう表現してるのか気になって後から読んだのだが…「あぁそうきたか」と再度ぶっ飛んだ。

本作の場合、映画も小説もミスリードが命。映画は映像だからこそ、小説は文字だからこそ。それぞれの特性で真実を隠す。原作のストーリーを熟知し、作品の「色」を的確に脚色した映像作家中村義洋の伊坂幸太郎との相性がベスト。


造りも凝ってていいのだけど…この時中村監督を知ったんだけど…中村監督らしい作品だよね。中村作品の核になるのが濱田岳。彼がいるだけで中村作品の優しい空気が出来上がる。もはや欠かせないピース。

優しさの周りには「孤独」が集まる。知ってる人がいない異邦の国で生活するガイジンの孤独。主人公椎名の周りには直接に間接にそんな孤独が手を差し出してくる。知らぬ間に頼っている。それが椎名なんだと。


中村作品のランドマーク的濱田岳。実は伊坂氏は執筆のとき彼で当て書きしてる役が結構あるらしい。瑛太演じる河崎は原作で「悪魔的な」と表現されている。本作の河崎はピッタリで役柄の切り替えも上手い。←ネタバレギリギリ!

ヒロイン関めぐみハチミツとクローバー」「包帯クラブ」等々個性派作品の出演が多く、後に米国版「DRAGON BALL」で海外進出。ところがブレイクすることなく残念。松田龍平大塚寧々はホントに重要な役。


…という感じでネタバレなしで書いてみたのだが…どうも歯切れが悪い。なぜ生涯ベストなほど好きなのか、絶対表現できていない。一番好きなところが書けないところだから。だって河崎がさ…

映画を観たら小説が読みたくなり、読み終わったらまた映画を観たくなる。今回、再見なので冒頭の瑛太の初セリフ「ディラン?」から涙がホロリ。超オススメ。未見の方は騙されたと思ってぜひ。



監督・脚本:中村義洋/脚本:鈴木謙一/原作:伊坂幸太郎
出演:濱田岳/瑛太/関めぐみ/田村圭生/なぎら健壱/キムラ緑子/岡田将生/眞島秀和/平田満/大塚寧々/松田龍平


hiroでした。


フィッシュストーリー ←中村監督の伊坂作品


ゴールデンスランバー ←これも中村監督


ポテチ ←これも。全部岳くん出てますね!