9本目(2月25日鑑賞)

女性監督による女性のための映画
ハスラーズ

好景気に沸くニューヨーク。アップタウンのストリップクラブで働くデスティニー(コンスタンス・ウー)はベテラントップダンサーのラモーナ(ジェニファー・ロペス)と親しくなり姉妹のような関係になる。出産のために店を辞めたデスティニーだったが生活が苦しくなり復帰。しかし、2008年のリーマンショックを契機に店の様子は一変していた。


復帰してからは、かなり危ない詐欺チームを結成して荒稼ぎするわけだが、悪質感が薄いのは金持ちから盗んでいるのと、盗まれるほうも「そりゃ騙されたって言えないわな」的な情けなさだからなんだろうね。

で、金持ちから金をくすねる痛快クライム劇だと思ってたら、どうも違う。時代が作り、置き去りにされた彼女たち。そんな状況だからこそジワジワと染み込むオンナの友情が描かれる。オトコはわかりづらい感覚だ。


それぞれが事情を抱えて、それでも一生懸命に生きている。一方で人の金で商売して暴落しても痛くも痒くもない証券マンがのうのうと暮らしている。そんな格差がベースにあるので、どうしたって軽い話じゃない。

トップダンサーも職を失えばしがないアルバイター。シングルマザーの子育て生活。女性だからこその問題…喧嘩しながら、寄り添いながら、女性同士だからわかり合える。女性監督による上質な女性映画だ。


主演コンスタンスは米国生まれの中国系女優さん。「クレイジー・リッチ!」(未見)の子なんだね。この子うまい。ジェニロペは良い歳を重ねてる。助演となった本作、今だからできる適度な侘び寂びがとても良い。

ジュリア・スタイルズは「ジェイソン・ボーン」シリーズのヒロイン。アッシャーカーディB等ショービジネス(実はよく知らん)からも参戦。リリ・ラインハートは「チャーリーズ・エンジェル」にもカメオ出演。


実話ベースなのだとか。だから甘くない、苦味の残るラスト。デスティニーにとってラモーナとの決別は後悔なのか。そうではあるまい。ラモーナの言葉に触れた時、会いたい気持ちが溢れたのではなかったか。

いわゆる「甘い汁」を吸ってきた彼女たちだからこの苦さが効いてくる。嫌な苦味ではない。甘みを打ち消すカプチーノのような絶妙な苦味だ。


監督・脚本:ローリン・スカファリア/製作:アダム・マッケイ/ジェニファー・ロペス
出演:コンスタンス・ウー/ジェニファー・ロペス/キキ・パーマー/リリ・ラインハート/リゾ/カーディB/マデリーン・ブルーワー/マーセデス・ルール/ワイ・チン・ホー/アッシャー/ジュリア・スタイルズ


hiroでした。