WOWOW鑑賞

光と海の映像美
光をくれた人

監督・脚本:デレク・シアンフランス/原作:M.L.ステッドマン/音楽:アレクサンドル・デスプラ
出演:マイケル・ファスベンダー/アリシア・ヴィキャンデル/レイチェル・ワイズ/ブライアン・ブラウン/ジャック・トンプソン

戦地から帰還したトム(マイケル・ファスベンダー)は無人島の灯台守りの仕事に就く。町の教師の娘イザベル(アリシア・ヴィキャンデル)と恋に落ちて結婚し、2人だけの島の生活が始まるが、イザベルは2度の死産を経験する。そんな折に漂着したボートから息のある赤ん坊を救ったトムは「私たちの子にしよう」と言うイザベルを不憫に思い、ルーシーと名付けてイザベルの両親に嘘の報告をする。


原題は「海を照らす光」。灯台の光のことなんだろうけど、写実的すぎて味気ない。「なんだこりゃ邦題」は数多あるけど「光をくれた人」を考えた方はすごい。

トムにとってのイザベル、イザベルにとってのルーシー、ハナ(レイチェル・ワイズ)にとってのグレイシーがそれぞれの「光」…この邦題は映画を観てわいた言葉なんだろう、と感心。


「光」を中心に据えた映像は息を呑むほど美しい。光は海の色、空の色を変え、波の表情さえもつくる。美麗な風景は抑揚の効いたデスプラの音楽も交えて人物の心象を映す。

単調でスローな展開。迫力のスペクタルなどないのだが、スクリーンで観てなかったのは惜しまれる。映像美が心地よすぎて寝てしまうのではないか。


ファスベン、どんなピンチもサイコキネシスで解決できそうな気がするが、それは別キャラ。アリシアはどストライクで大好き。

レイチェルはもっと早めに出してても良かったのでは。すごい存在感だったので、後半だけの出演は勿体ない。


光によってもたらされた闇。ちょっとした心の隙で犯してしまった罪や後悔に縛られる人々。そんな心を救うの「赦し」が少々牧師の説法っぽくもある(笑)。

人が生きるのはそこに光があるから。ベースにあるメッセージは伝わりやすいが、時系列の展開が作品を固くしちゃってる印象。捻りがあると…と思うのは僕が捻くれているからだろう。



hiroでした。