WOWOW鑑賞


硬派なエンタメに引き込まれる
13デイズ
 
監督:ロジャー・ドナルドソン/原作:アーネスト・R・メイ/脚本:デヴィッド・セルフ
出演:ケヴィン・コスナー/スティーヴン・カルプ/ブルース・グリーンウッド/ディラン・ベイカー/ルシンダ・ジェニー/ビル・スミトロヴィッチ/ケイトリン・ワックス
 
1962年、米国偵察機がキューバでソ連の核ミサイルを撮影。隣国への配備で本土の大半を核兵器の射程距離におかれた米国政府はキューバへの空爆による報復か外交による撤去かの決断を迫られる。外交策を探るケネディ大統領(ブルース・グリーンウッド)、弟のロバート司法長官(スティーヴン・カルプ)、腹心の顧問オドネル(ケヴィン・コスナー)らは核戦争勃発のリミットである13日間を戦争回避に向けて懸命に過ごす。
 
 
疑心暗鬼。
 
この部下とはうまくやってるから、たまには飲みにでも誘ってやるか。いや、待てよ。会社の人とはプライベートの付き合いはしない人が増えているとか。会社の飲み会も減っているとか。
 
ここで誘ったらパワハラになるのか。「プライベートはちょっと」とでも言われたら「芸能人かよ」と突っ込んでやるか。気軽に誘うこともできない世の中、面倒だなぁ。
 
…ということで自分から飲み会を切り出すのはやめましたとさ。
 
 
本作の主人公は大統領顧問オドネルとジョン&ロバートのケネディ兄弟の三人。そんな彼らが直面するのが「国と国との疑心暗鬼」。飲みに誘うどころの騒ぎじゃない。ひとつ選択を誤れば核戦争勃発の危機。
 
実話ベース。「キューバ危機」は聞いたことがある程度。核戦争を回避したからこそ「知らなかった」で済んでるわけで。JFKといえば例の事件が有名だが、これはもっと語られていいことではないか。

軍人ってなんであんなに好戦的なんだろ。ザ軍人、ザUSAだなー、とイライラしてたら、映画製作にあたり当局は「描写が好戦的すぎる」と協力を拒んだらしい。
 
 
JFK」であの事件の真相に迫り、本作では側近を演じたコスナー。アクションもロマンスもなし。頭脳と度胸で世界と渡り合う骨太役。JFKの弟ロバートを演じたスティーヴン・カルプの柔らかさも好印象。

JFKのグリーンウッドの出演歴は観たことある作品ばかりというスーパー・サポートアクター。ちなみに本作でディラン・ベイカーが演じたマクナマラ国防長官を「ペンタゴン/最高機密文書」で演じていたのは彼。
 
 
難解な政治や軍事の用語。次々登場する重要人物たち。大半のシーンがホワイトハウスの室内。外交派と報復派と報復+侵攻派がひたすら議論を交わす2週間。ふつうなら眠くなるような政治劇。なのに面白いから凄い。
 
好戦派を是とはしていない。たった1人の犠牲者も追悼。戦争の英雄ではなく戦争をしなかった英雄の話。テンポの緩急も緊張感の維持にひと役。ど硬派なエンタメ・サスペンス。スクリーンで観たかったなぁ。

最も第三次世界大戦が近かった日。たった1人の決断で決まるのか…怖い。
 
 
 
hiroでした。