WOWOW鑑賞


割と早めに読めちゃった
去年の冬、きみと別れ
 
週刊誌編集長小林(北村一輝)のもとにフリーライターの恭介(岩田剛典)が現れ、写真家木原坂(斎藤工)が起こした火災で女性が死んだ事故は殺人だと主張。取材して本にしたいと持ちかける。木原坂と接触した恭介は次第に取材にのめり込み婚約者の百合子(山本美月)に結婚の延期を切り出す。
 
 
「狂気」はたいていの場合、外因によって作られるのではないか。虐待やいじめ。ストレスの蓄積によって生まれた狂気は心の中で青い炎を灯し、静かに燃え続ける。
 
炎は酸素を求める。燃焼させる酸素がなくなると新たな酸素を求める。バンパイヤが血を求めるようにごく自然に。増幅される狂気。青い炎はより青さを増していく。
 
 
原作にかなり手を加えているそうだ。そういう場合、不評を買うことが多いのだが、これはなかなか好評。未読なのでちょっと調べてみた。なるほどとても映画的な改変。
 
文字を読み進めながら想像で構築する風景が小説なら、映像としてイメージを提供するのが映画。手法が違うので小説を「まんま」映像化しても「小説のほうが面白い」となりがち。
 
とはいえ原作をいじるとなると、的確な「いじり」をしない限り原作ファンに叩かれる。これは好例のひとつなんじゃないかな。
 
 
冒頭の一節は劇中の木原坂の「狂気」。実は本作の半分しか表現できていない。ネタバレになるので続きが書けないのがもどかしい。
 
ただ、わかっちゃうよね、これ。映画慣れしてくると約2時間の配分パターンがわかる。早々にピースが揃いすぎると「ひっかけ」に気付いてしまう。本作、どんでん返しも気持ちいいほど的中してしまった。
 
脳男」「グラスホッパー」の瀧本監督。脚本家として木村大作作品にも参加。うーん、捻るの好きじゃないのかな。


好青年岩ちゃんはEXILEグループの中で一番好き。我が家ではワンコ顔と人気。美月ちゃんは相変わらずの演技だが出演ごとに存在感増量。化けるタイプかもしれない。

「ゲゲゲの女房」から応援している工くん。こういう役はお手の物。岩ちゃんも工くんも意外と映画は多くないので、本作なかなかの新鮮味。

面白かったけど、もっと面白くできたかな。映像力はあるので、スクリーンで観ていればプラスアルファもあったかも。


監督:瀧本智行/原作:中村文則/脚本:大石哲也
出演:岩田剛典/斎藤工/山本美月/浅見れいな/土村芳/利重剛/矢島健一/でんでん/北村一輝


hiroでした。