NHK-BS鑑賞

 
空に魅入られた男たちの悲喜劇
華麗なるヒコーキ野郎
 
監督:ジョージ・ロイ・ヒル/脚本:ウィリアム・ゴールドマン
出演:ロバート・レッドフォード/ボー・スヴェンソン/スーザン・サランドン/ジェフリー・ルイス/ボー・ブルンディン
 
第一次世界大戦が終わり、元米軍飛行士のウォルド(ロバート・レッドフォード)は曲芸飛行で生計を立てていた。自分の縄張りで稼ごうとしていた同業者アクセル(ボー・スヴェンソン)を懲らしめた数日後、映画館で知り合ったメアリー(スーザン・サランドン)に戦時中ドイツの伝説的飛行士ケスラー(ボー・ブルンディン)との空中戦を語って聞かせていたウォルド。そこにアクセルが現れ、その話が嘘だと暴露する。
 
 
空が好き。重力に反して縦横無尽に駆け回る自由さがたまらない。想像だけでこれだ。それを体験し、空の一部になった飛行士たちはなおさらだと思う。
 
空を飛びたい。トトロにしがみついて田園を飛び回るサツキとメイ。「となりのトトロ」のそのシーンでゾクゾク。「天空の城ラピュタ」の空賊など歓喜。
 
かの宮崎駿も空に憧れたクチ。「紅の豚」はヒコーキ野郎の世界観。氏もこれを観たのではなかろうかと推察。
 
 
スティング」チームが再結集した1975年作品。邦題の「ヒコーキ野郎」は主人公ウォルドをはじめとする、空に取り憑かれたすべての男たちのこと。
 
ストーリーは実に爽やか。陸に上がって官僚となった者も、実は空に取り憑かれていたりする。ラストの空中戦は感動。
 
 
撮影隊も革新映像。大きいカメラを積んでの空中戦撮影。リアル映像に慣れた今見ても大迫力。映像に映らない工夫があったと想像。
 
あいも変わらずかっこいいレッドフォード。「スティング」後のコメディ路線も大成功。「見たことあるー」のスヴェンソン。「復活の日」の南極アメリカ隊。若きサランドンも印象的。息の長い方々の共演が素敵。
 
 
爽やかな空の男の物語の裏には悲哀。空の英雄も陸に上がると生活に追われ、仕事を追われ、借金を抱え。空だけが彼らが自由でいられる場所。本作は空に魅入られた男たちの悲喜劇だ。
 
戦争が航空技術と飛行技術を飛躍的に進歩させたことは事実。今安全に海外に行けるのもそのためかと思うと複雑。
 

 
hiroでした。