WOWOW鑑賞 80年代音楽映画図鑑②

ロックンロールの寓話…生涯ベスト5入り
ストリート オブ ファイヤー

監督・脚本:ウォルター・ヒル/脚本:ラリー・グロス/音楽:ライ・クーダー
出演:マイケル・パレ/ダイアン・レイン/ウィレム・デフォー/エイミー・マディガン/ビル・パクストン/デボラ・ヴァン・ファルケンバーグ/エリザベス・デイリー/ロバート・タウンゼント/リック・モラニス

ロックスター・エレン(ダイアン・レイン)が故郷の凱旋公演の最中にストリートギャングにさらわれる。会場にいたリーヴァ(デボラ・ヴァン・ファルケンバーグ)はエレンの昔の恋人で街を離れていた弟トム(マイケル・パレ)に救出するよう依頼する。トムは流れ者のマッコイ(エイミー・マディガン)、エイミーのマネージャーで恋人のビリー(リック・モラニス)とギャングの本拠地に乗り込む。


恥ずかしながら初見。リマスター版の公開など近頃話題。録画物件にて鑑賞。

誘拐されてから何日経ってんのよ。警察は何やってんだよ。犯人わかってんのになんで何の手も打たないのよ。ウィレム・デフォーのカッコなによ。果たし状っていつの話よ。死闘の末「今に見てろよ、ズラかれ!」って…全部まとめてどうだっていい!

元カノがさらわれ元カレが助ける。そして去っていく。「完」…なんというシンプルさ。なんという力強さ。みんなが大好きなのも納得。hiroもやられたよ。


「男らしさ」なんて言葉がまだ輝きを持っていた時代。優しさや器用さが求められる近年のヒーローとは違う。最後のヒーローがトム・コーディ。

エレン・エイムもそんな男を甘やかさない。ベタベタもしない。男になんか頼らなくても生きていけるワンダーウーマン。

幸せな結末などあり得ない2人の愛が火花を散らす。


ど真ん中にストレートを投げ込んだストーリー。このストレートを160キロの豪速球にしたのが音楽。

エンディング曲「Tonight Is What It Means To Be Young」がカタルシス。でも映画的にはオープニング「Nowhere Fast」が重要。この曲のドラムビートが本作全編のリズムを作っている。

セールス的には劇中ドゥアップバンドの歌う「I Can Dream About You」がトップ。ちなみにエレンのライブシーンの声は吹き替えなのだとか。


当時無名のパレ。今も活動を続けているが、今でも無名に近い(泣)。hiroより1歳上のダイアンは当時からスター。円熟期を迎えて今も活躍中。デフォーも映画界に不可欠なバイプレイヤー。

印象的な相棒マディガン。当初は男性設定だったのをマディガンが猛烈アピールで勝ち取ったのだとか。さすがはモラニス、いるだけで楽しい。


ストーリーを追うと本作のジャンルはアクション映画。ところがストーリーだけでカルト人気を誇る作品になったかどうか。

音楽映画とは何か。ミュージカルとは違う。「音楽を題材にしている」だけでもない。音楽が物語やシーンを構成する重要なエレメントである作品。音楽なしでは輝かない作品。高純度の音楽映画であったことが本作を名作たらしめたのではないか。

まさに「ロックンロールの寓話」である。



テレビサイズで観たのに大興奮。スクリーン鑑賞未体験を後悔。緊急招集した生涯ベスト選考委員会にてベスト5入り確定。



hiroでした。