WOWOW鑑賞 異能者たちの憂鬱③


異色ユニットの王道ミステリー
スキャナー
記憶のカケラをよむ男
 
監督:金子修介/脚本:古沢良太/音楽:池頼広
出演:野村萬斎/宮迫博之/杉咲花/木村文乃/ちすん/前野えま/梶原善/嶋田久作/安田章大/風間杜夫/高畑淳子
 
ピアニストの亜美(杉咲花)がコンクールに向け練習に励むなか、指導していた雪絵(木村文乃)が行方不明になる。雪絵が人の記憶を見る怪しい漫才コンビが好きなことを知る亜美は、事務所に雪絵探しを依頼するが、当の仙石(野村萬斎)は漫才をやめ、相方の丸山(宮迫博之)だけがピン芸人として活動していた。
 

狂言師萬斎と漫才師宮迫の異色ユニット。萬斎は初の現代劇。脚本は「相棒」シリーズの古沢良太。惹かれる面々。

原作モノ主流の現代にあってオリジナル勝負の本作。それでいてメイン二人が推理小説の探偵のようにキャラ立ちしているのが魅力。脚本力といえる。


消えた美女、追う探偵と少女、人探しのはずが連続殺人事件と繋がり…という展開はミステリーの王道。仙石の能力には、能力ゆえの欠点もあって、使い方がうまい。

容疑者配置も慣れたもの。ハマりすぎて「こいつは違う」のが見えてしまう(笑)。真犯人は意外な人物。けど、やられた感より、そんなのあり?感が強い。


自分のキャラを役に活かすのが実にうまい萬斎。「陰陽師」や「のぼうの城」も自分色。現代劇でも健在。芸人が演技をするのは好きじゃない。宮迫も一本調子。できる役者はいっぱいいる。

文乃ちゃんを嫌いな人はいるんだろうか。花ちゃんの勢いは今も継続中。高畑淳子さん、風間杜夫さんの存在感は安心。関ジャニ安田章大がいたのは最初気付かず(笑)。公式サイトにも名がない美少女は前野えま。やけに記憶に残る。


真犯人が唐突で、終盤に少しザツ味。コメディも控えめだが、古沢らしい仕掛けは十分楽しめるミステリー。猟奇殺人ばかりでなく、こういう王道ミステリーも絶対必要。



hiroでした。