WOWOW鑑賞 音楽のチカラ③
傑作やん!泣いたもの!
監督・脚本:細川徹/原作:荒木源
出演:杏/笹野高史/坂口健太郎/黒島結菜/左とん平/小松政夫/藤田弓子/石倉三郎/喜多道枝/萩原利久/フィリップ・エマール/光石研
梅ヶ丘フィルの演奏に感動した千鶴(杏)。ヴァイオリン募集の梅フィルの広告をみつけて応募すると、意外にも電話一本で入団が認められる。ところが練習場に行ってみるといるのは老人ばかり。千鶴は間違えて衰退著しい梅ヶ丘交響楽団に入団していた。辞めると言い出せずにいるうちに指揮者の野々村(笹野高史)が倒れ、療養する彼に代って指揮をすることになる。
高齢者向けの緩い笑いの和やか映画だと思ってて、すんませんっした!
こういうビッグネームが集まると、撮影が進まないとか、いうこと聞かないとか、演出に口出すとか(←失礼の数々ご容赦)、クランクアップにたどり着くまで修羅場っぽいじゃないですか。そのベテランたちが実に抑えが効いている。それでいて控えめでもなく、一人ひとりがちゃんと個性を出してくる。
彼らがそんなだから、杏も坂口健太郎も生きてくる。みんなのお孫さん的黒島結菜の自由さも増す。本作、凄くバランスがいい。
杏の映画単独主演はこれが初。意外。彼女のコメディセンスはドラマ「デート〜恋とはどんなものかしら」から注目してた。間違いなく本作を牽引してるのは杏。堂々の主演。
ベテラン勢の抑えになっていたのが笹野さんとみた。役のまんま。笹野さんがいろんな面で大活躍。助演男優賞を差し上げたい。
この二人が作り上げた空気が素晴らしい。笑って、泣いて、希望を与える。コメディとはこうありたい。傑作だ、これ。
「私たちはいつまでできるかわからんのじゃよ」…鬼気迫るセリフ。一昨年の作品ながらすでに左とん平さんが鬼籍に入られている。とん平さんのお姿に手を合わせた。ご冥福をお祈りします。
いつまでできるかわからないのは、お年寄りだけじゃない。主人公千鶴にも、僕たちにも同じこと。
以前、学歴においてひとつ先輩のプロ野球のレジェンド山本昌選手に引退を決めた直後にお話を伺う機会を得た。「まだできる自信はある」と。ただし「若い頃よりも長い助走が必要。準備さえしていれば年齢は関係ない」と加えた。金言だ。
歳だから諦めるというのは、歳のせいにした言い訳に過ぎないらしい。
hiroでした。