HDD鑑賞 怖いのもうひとつ(笑)

 

日本映画への貢献は絶大

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犬神家の一族
 
監督・脚本:市川崑/脚本:長田紀生/日高真也/音楽:大野雄二/原作:横溝正史
出演:石坂浩二/高峰三枝子/草笛光子/三條美紀/地井武男/川口恒/川口晶/小林昭二/小沢栄太郎/坂口良子/三木のり平/横溝正史/岸田今日子/寺田稔/大滝秀治/加藤武/島田陽子/あおい輝彦/三國連太郎
 
信州の湖畔の町に屋敷を構える犬神財閥。その総帥佐兵衛翁(三國連太郎)が死んだ。松子(高峰三枝子)、竹子(三條美紀)、梅子(草笛光子)の三姉妹とそれぞれの子、犬神家の縁者という珠代(島田陽子)らが集まる中、遺産相続を記した遺言状が開けられようとしていた。その矢先、法律事務所の若林が毒殺され、彼に調査を依頼されていた探偵・金田一耕助(石坂浩二)は事件に巻き込まれる。
 
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日本ミステリーの金字塔。
 
このミステリーはメイド・イン・ジャパン。系譜という縦軸が血で膨張する。そこで起きる殺人事件。欲と憎悪が絡まり、掛け違った縁(えにし)が暗闇を浮き彫りにする。日本人横溝正史が紡ぐ悲劇。
 
そこにホラーをぶち込んだのが市川崑。かの有名な佐清マスク。いるだけでホラー。大物が集った女優陣の目。その目に語らせる煌びやかな映像とキレキレの編集。何かを孕んだオンナの目は怖い。
 
そんなドロドロ沼に咲く花がフケだらけホコリだらけの石坂・金田一耕助(笑)。
 
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横溝作品の傾向をご存知なら、未見の方でも犯人は薄々わかる。誰が犯人か、は大きな問題ではない。何が犯人をそうさせたのか。そこに恨みがあり、愛がある。
 
時代感とシチュエーションが重要。他人には知り得ない事情が一族にはある。無数の影が壮麗な屋敷にはある。そして山村は閉ざされた空間。都市との往復は、この時代、鉄道を使っても1泊を要する。現代では成立しない距離感が絶妙。これらは部屋ではなくても密室と何ら変わりがない。
 
この密室の鍵を飄々と開けてしまうのが金田一耕助という男。
 
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陽子さんの可憐が匂い立つ。再見してまた、その美しさにハッとする。高峰さんの目に震える。草笛さんの欲は誰もが持つダークサイド。地井武男もいたので笑ってしまった。
 
あおい輝彦が喋ると矢吹丈が現れる。大滝秀治岸田今日子が怪演。加藤武はハマリ役。坂口良子がキュートで当時好きだったことを思い出す。
 

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横溝x市川x石坂トリオによるニッポンミステリー、ニッポンホラー。角川書店の映画進出第一弾。作品によって、人によって、好き嫌いの激しい角川作品。だけど、本作の日本映画界への貢献度が高いことは間違いない。
 
これから再見される方はご確認を…音楽がカリオストロみたいだから。(大野さんだからね)
 
 
 
hiroでした。