63本目(9月25日鑑賞)

副機長! おあとがよろしいようで
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ハドソン川の奇跡

監督:クリント・イーストウッド/脚本:トッド・コマーニキ/音楽:クリスチャン・ジェイコブ/ザ・ティアニー・サットン・バンド
出演:トム・ハンクス/アーロン・エッカート/ローラ・リニー/アンナ・ガン/オータム・リーサ

2009年1月15日、ニューヨークを離陸したエアバス1459便は早々にバードストライクによるエンジン故障で操縦不能となる。空港に戻ろうにも高度が足りず、高層ビルの間を飛行する危険を避けるため、機長サリー(トム・ハンクス)の下した決断はハドソン川に着水することだった。

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ゼメキスの「フライト」みたい…本作を知った時の最初の感想。

乗客乗員155名の命を救った機長サリー。一夜にして英雄になった彼を待っていたのは事故調査。責任、保険金、社会的信用等、しがらみだらけの現代、救えば終わりではない。訴訟王国においては「ホントは空港に帰れたんじゃね?」なんて疑惑もさもありなん。

事故から始まり、調査の顛末を淡々と描く。航空機事故のレスキュー映画ではないので、お間違いなきよう。

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委員の尋問にも似た調査に対し、信念を貫き通すサリー。「ブリッジ・オブ・スパイ」の主人公のよう。ラスト、シュミレーション検証の盲点を突いて溜飲を下げるサリー。観てるこっちもホッとする。

遊覧船の男たちにグッときた。「あ、飛行機落ちた。助けに行かなきゃ」と自然に出るのだから凄い。偉業を讃えられたサリーが答える。「私一人ではできなかった」。乗員、乗客、船乗り…多くの人々がマニュアルに縛られずに行動したことで起きた奇跡をマニュアルで裁くことなどできない。

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キャプテン・フィリップス」「ブリッジ・オブ・スパイ」。実話の似たようなキャラが続いたトム。本作、妻にだけちょこっと見せる弱気。強いだけじゃないところに暖かさがある。救出された人数にこだわる姿もよかった。

副操縦士に「ダークナイト」のアーロン・エッカート。全然わからなかった。

静かな作品だと思いきや、まさかの大迫力音響。IMAXカメラで撮ったという映像も事故の衝撃を表現して余りある。IMAX上映があればそれに越したことはなさそう。hiroは通常上映だった。

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冒頭の「フライト」も機長が多くの人命を救う。が、彼は飲酒で有罪・服役。調査委員会の目的は事故の再発防止。結果オーライではない。なのに、何が起きるか知っているシュミレーションで「ほれ見たことか」って、アホやろ。ホンマ、ビデオゲームとちゃうで!

映像と音響の迫力はシアター必須。映画そのものも面白く、イーストウッド作品らしくはある。ただ、トム・ハンクスがいるとクソ真面目になっちゃうんだよな。副機長の締めの一言に救われる。



hiroでした。
ちなみに「フライト」はデンゼル・ワシントン演じる機長の再生の物語。本作とは入り口が一緒でもジャンルは異なるかな。



脚本7 映像9 音響9 配役7 音楽7
39/50