39本目(6月26日鑑賞)

北の狼の伝奇ファンタジー歌舞伎
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阿弖流為 歌舞伎NEXT

作:中島かずき/演出:いのうえひでのり
出演:市川染五郎/中村勘九郎/中村七之助/片岡亀蔵/坂東彌十郎/市村萬次郎

大和朝廷が蝦夷討伐に手こずるなか、都では立烏帽子党を名乗る蝦夷の盗賊団が跳梁していた。都の民を襲うこの一団、実は偽物。本物の立烏帽子(中村七之助)、公家の一族坂上田村麻呂(中村勘九郎)、そして蝦夷の神アラハバキの怒りを買いその地を追われた阿弖流為(市川染五郎)の三人は偽物を退治。そこで運命的な出会いを果たす。

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「阿弖流為」で「あてるい」と読む。中島かずき作、いのうえひでのり演出の、いわゆる「いのうえ歌舞伎」。映画館のツキイチ歌舞伎企画で初体験。スクリーンでの同様企画、今は定番。演劇や歌舞伎、オペラ、バレエなどの裾野拡充のため、コンスタントに上映されるようになった。

劇団新感線のファンで本作の出演者登壇試写に参加されたfridaywaltzさんから勧められていた本作。阿弖流為といえば時代小説のなかで大好きなキャラクター。試写前のwaltzさんにそこを買われ、歴史的背景をTwitterでご説明したような、しないような(笑)。

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阿弖流為を知らない方は、以前、NHKドラマの記事を書いているので、参照していただければ幸い。ある程度日本史好きな方でも、意外と知られていない人物。知らなくても不思議じゃない。

ストーリーは伝奇ロマンでファンタジーの領域。史実とは帳尻があっていたので、創作含めて十分楽しめる。源平よりも前の時代。元々、阿弖流為の存在さえ謎だらけではある。

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現代演劇の作・演出とはいえ、ベースは歌舞伎。独特の語りや間、見得などはやっぱり歌舞伎のそれ。でも、ご安心。セリフはほぼ現代語でわかりやすい。見得は歌舞伎役者の性(さが)。カッコつけどころ。カズダンスみたいなものと理解しよう。

3時間半の長丁場。これもご安心。10分休憩がある嬉しさ。そんなとこまで舞台らしい演出。映画ならではの味を出そうとした映像処理、少ししつこかった。舞台のまんま感でもよかったかな。

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染五郎、勘九郎、七之助…歌舞伎界の中心役者が勢ぞろい。「歌舞伎は敷居が高くって」…そんな方のための歌舞伎NEXT。古典落語に対して新作落語がある。仮名手本忠臣蔵や勧進帳が歌舞伎の古典なら、本作は新作に相当。歌舞伎経験たった一度のhiroが入っていけるのだから全然OK。一幕料金程度でフルバージョン楽しめるのもお得。気軽な気持ちで飛び込んでみては?

ツキイチ歌舞伎は毎月作品を変えて上映。今後、野田版歌舞伎や話題のワンピースもラインナップ。要チェック。

waltzさん、ありがとね。



hiroでした。



映画作品とは異なるので未採点。