6本目(2月14日鑑賞)

 
予習してから観に行こう
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スティーブ・ジョブズ
 
監督:ダニー・ボイル/脚本:アーロン・ソーキン/原作:ウォルター・アイザックソン/音楽:ダニエル・ペンバートン
出演:マイケル・ファスベンダー/ケイト・ウィンスレット/セス・ローゲン/キャサリン・ウォーターストーン/マイケル・スタールバーグ/ジェフ・ブリッジス
 
1984年、Macintoshの発表直前、デモの不調で焦燥するジョブズ(マイケル・ファスベンダー)。担当アンディ(マイケル・スタールバーグ)を叱咤する最中、元恋人クリスアン(キャサリン・ウォーターストーン)が娘のリサを連れてくる。
1988年、アップルを追われたジョブズが手がけたネクスト・キューブ発表の日、旧友ウォザック(セス・ローゲン)が訪ねてきて、自分に謝辞を言えと迫る。
1998年、アップルに復帰したジョブズがiMacを発表する日、秘書ジョアンナ(ケイト・ウィンスレット)の計らいでリサと再会する。決別していたビジネスパートナー・スカリー(ジェフ・ダニエルズ)も控え室に現れる。
 
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84年、88年、98年のプレゼンを横糸に。娘のリサ、ビジネスパートナーのスカリー、創業からの相棒ウォザックとのエピソードを縦糸に。テンポある音楽と映像で仕上げるボイル風味で丹念に紡いだ一幅の絵画。全体を俯瞰して、一人の天才を掘り下げる構造。

本作、ジョブズのエピソードが断片的で説明が少ない。書籍「スティーブ・ジョブズ 」は本国でベストセラー。彼の生涯、知ってるのが前提なのか。予備知識がないとハードルが高い。書籍既読。2013年のアシュトン・カッチャー版「スティーブ・ジョブズ 」も鑑賞。なので本作に関わる人物をサラッとまとめておく。
 
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コンピュータを家庭に1台…と考えていたジョブズは、ウォズニアックとの出会いで実現を確信。自宅ガレージで試作品を作り始める。それがアップルの始まり。ウォズニアックなしでは、この夢も始まらなかった。

Apple1号機がAppleⅡに発展。その頃からジョブズとウォズニアックの間に溝ができる。AppleⅡに満足いかないジョブズは独自に開発チームを集めLISAを創る。ところが敵を作ることに長けるジョブズはここでも失敗。後継としてMacintoshを始める。

本編中ウォズニアックがこだわるAppleⅡはこの辺の事情。LISAの名は娘の名前に由来する。その娘リサは、クリスアンとの間の子で、認知しなかった騒動は本作に詳しい。その後、アップルを解雇され、ネクストを買収。この頃、映画好きに関連深いピクサーの経営参入もしているが、大人の事情なのか、カッチャー版でも本作でも触れられていない。

アップルの成長で大規模戦略が必要になり、当時、ペプシのCEOとして有名だったスカリーを引き抜いたのがジョブズ。意気投合した二人だったが、ここでもジョブズはうまくいかず亀裂が生じてしまう。
 
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断片映像では、AppleⅡがなんだかわからない。ネクストも然り。ちょっと不親切。カッチャー版は時系列で、創業から軌道に乗るまでの前半生を描いているのでわかりやすい。ジョブズってこんな人かな、って人が観るのが本作かな。
 
長くなった。キャストも駆け足で。似てないファスベン。でも、だんだん似てくるから不思議。ケイトはなりきり度が高く、終わってから「そういえばケイトだったじゃん」って。クリスアンのキャサリンは注目株らしい。ジェフ、セスらは安定。ファーストカットから登場のスタールバーグがやたら目に付いた。

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伝記的感覚で観に行くと、特に映画慣れしていない方はちんぷんかんぷん。ジョブズについてある程度知っていると、ボイル風な味付けを楽しめる。
 
父ジョブズにスポットを当てたのは斬新。それを除くとずっとイライラジョブズの喧嘩劇。年を重ねて少しずつ丸くなっていくのはわかるけど。
 
ジョブズはいい人ではない。いい人だったら、今iPhoneでレビューを書くこともできなかった。ゼロから物を作るのには物凄いパワーがいる。ジョブズみたいな変人がいるから、天才がいるから、進歩があるというのは真実。劇中出てくる歪曲フィールド…実現できると思い込むこと。最初から無理だと決めこまない。これがあるから好きなのです、変人ジョブズが。
 
 
hiroでした。
 
 
脚本6 映像8 音響6 配役8 他(音楽)8
36/50