WOWOW鑑賞


何度観てもラストに涙!
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オーケストラ!


監督・脚本:ラデュ・ミヘイレアニュ/脚本:アラン=ミシェル・ブラン/

出演:アレクセイ・グシュコブ/ドミトリー・ナザロフ/メラニー・ロラン/ミュウ=ミュウ/ヴァレリー・バリノフ/アンナ・カメンコヴァ・パヴロヴァ/ラムジー・ペディア/フランソワ・ベルレアン


元オーケストラ指揮者アンドレイ(アレクセイ・グシュコブ)は、訳あってロシア・ボリショイ劇場の掃除係をしている。支配人室を掃除していたある日、たまたま届いたパリからの公演依頼FAXを目にし、ボリショイ楽団になりすましてパリへ行く計画を立てる。有名なヴァイオリニスト・アンヌ=マリー・ジャケ(メラニー・ロラン)との共演も確約させたアンドレイらは、昔の仲間を集め始めるが、この計画には、秘められた真実と想いがあった。


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メラニー、好きです。「イングロリアス・バスターズ」以来5~6本、彼女の出演作、観てます。本作の彼女、一番美しいと思います。


解散以来30年ぶりに集結した楽団。みんなジジババになり、それぞれ楽団以外の道で生活している。仰天計画に人が集まるさまはフレンチコメディの王道(下ネタ必須(笑)!)


ジプシーのヴァイオリニストのリクルートシーンは音楽の素敵さを堪能。このヴァイオリニスト、最後までいいスパイス。

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中盤、アンドレイとサーシャ(ドミトリー・ナザロフ)が何かを企んでいることに気付く。ジャケと彼女のマネージャー・ギレーヌ(ミュウ=ミュウ)が絡んでいるらしい。さらに、楽団が解散し、アンドレイが落ちぶれた理由も関係しているらしい。


パリの街で思い思いの行動をとる楽団メンバーのドタバタ喜劇を背景に、違う空気が立ち込める。戦争の爪痕。冷戦が残した負の遺産。アンドレイや楽団仲間が守ろうとして守れなかったもの。音楽への情熱と仲間への愛が、パリで再燃する。

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ラストのチャイコフスキーのフル演奏はクライマックス。後日談の映像をチラ見させているのは、演奏で映画を終わらせたいという演出。これは見事。


アンドレイは「告白」だという。彼の声は、手紙にしたためた言葉なのか、直接語った言葉なのか。彼らの奏でる音楽が「告白」であり、音楽で伝えているのだと思いたい。本作の原題「la concerto」。「協奏曲」の方がピンとくる。


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メラニー以外はほとんど知らない役者たち。アンドレイ役のグシュコブはロシアで活躍されるポーランド人役者。頭髪控え目だけどシブメン。相棒サーシャのナザロフがいい味。日本語版Wikipediaにもページがない、日本ノーマーク役者。ファブローみたいな佇まいが愛されキャラ。


ミュウ=ミュウに至り、やっと観たことがある女優。おっと、忘れちゃいけないフランソワ・ベルレアン。パリの劇場の支配人役の彼「トランスポーター 」シリーズのタルコーニだ。


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チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲。ダメダメな演奏が、ジャケのソロで様変わり。みんな、彼女に大切なことを伝えるために演奏する。クラシックに疎くても、専門知識は不要。ヨーロッパの歩んだ負の歴史を感じとるだけでよい。

ヴァイオリンを弾きながら何かに気がつくジャケ。オケの面々を見渡して、それが何かを確かめる仕草がよい。確信したその気持ちを受け止める表情がよい。そして終演。最後の音がハーモニーになった時、感極まったジャケの目に涙が光る。

劇場鑑賞含め、三度目くらいかな。チャイコ始まったあたりから、もう涙。これ、大好き。




hiroでした。



以下ネタバレヒントにつき要注意。



鑑賞予定の方は鑑賞後にご覧いただければ幸いです。



黄色い星の子供たち 」のレビューでも少し触れたメラニーのルーツ。本作でも生きてます。見た目全くわからないんだけど、欧州の人はピンとくるのかな。