1本目(1月10日鑑賞)
命の価値の物語
監督:スティーヴン・スピルバーグ/脚本:マット・シャルマン/イーサン&ジョエル・コーエン/音楽:トーマス・ニューマン
出演:トム・ハンクス/マーク・ライランス/エイミー・ライアン/アラン・アルダ/スコット・シェパード/セバスチャン・コッホ/オースティン・ストウェル/ウィル・ロジャース
米ソ冷戦の時代。保険訴訟の敏腕弁護士ドノヴァン(トム・ハンクス)は、逮捕されたロシア人スパイ・ルドルフ(マーク・ライランス)の弁護を依頼される。公平性を誇示するための裁判で、ルドルフの国家への忠誠心に触れたドノヴァンは彼の減刑に成功する。そんな中、米偵察機がソ連領内で迎撃され、パイロットのパワーズ(オースティン・ストウェル)が拘束される。ソ連は東西分断最中の東ドイツを通じて、米へパワーズとルドルフの交換を持ちかける。民間人として交換交渉を依頼されたドノヴァンは、もう一人、東ドイツに拘束されている米国人学生プライヤー(ウィル・ロジャース)がいることを知る。
ルドルフとパワーズの交換。二人の命の交渉に乗り出したドノヴァンは、測られているのが命ではなく情報だということに気づく。一大学生のプライヤーの命の軽さを受け入れられないドノヴァンは、信念を貫くためにある決断をする。
冷戦状態の崩壊危機を左右するカードを手にした命の駆け引き。交換のスリルはラストの10分のみ。全編、人の命の価値を問う、重厚な人間ドラマ。
細かい言葉のあやは重要ではない。交渉の流れが、捕虜たちの態度が、ドノヴァンの行動が、大切。難しそうな話なれど、観ているだけで伝わるのが、本作のツボだと感じた。
態度で、動きで、表情で伝えるハンクス。特に顔芸が強烈な印象。彼の大物たる所以。それを引き出した盟友スピールバーグとのコンビネーションは職人技の域。
3つの国の思惑が交錯するベルリン。それぞれの主張、正義が入り乱れる。俳優陣、それぞれの立場を好演。ルドルフ役のライランスの輝きは助演男優賞レベル。
実話。ドノヴァン弁護士、この後も大仕事をする。ここでは書かない。気になる方は本作エンドロールで確認を。(笑)
なぜ彼は「不屈」であり続けられたのか。彼の仕事に対する向き合い方だと思う。私見でまとめてみたので、それを記してレビューを締めます。
①金のために仕事をしない。報酬は大切だが、絶対条件ではない。
②栄誉や名声のために仕事をしない。名声は一夜のうちに地に堕ちる。
…では何のために仕事をするのか。
③信念を貫き通したのか。どれだけ信念に近い着地点に導けたのか。仕事の動機や目的は「信念」でなくてはいけない。
hiroでした。
脚本9 映像8 音響7 配役9 他(音楽)7
計40/50