73本目(9月10日鑑賞)
オリヴァーが一番教えてくれた
脚本・監督・製作:セオドア・メルフィ/撮影:ジョン・リンドレー/音楽監修:ランドール・ポスター
出演:ビル・マーレイ/ジェイデン・リーベラー/メリッサ・マッカーシー/クリス・オダウド/テレンス・ハワード/ナオミ・ワッツ
ヴィンセント(ビル・マーレイ)は、ビンテージカーを乗り回し、酒とギャンブルに溺れる一人暮らしの老人。ストリッパーのダカ(ナオミ・ワッツ)以外の誰からも嫌われている。隣にマギー(メリッサ・マッカーシー)、オリヴァー(ジェイデン・リーベラー)母子が引っ越してくるが、ある日、学校で鍵を盗まれたオリヴァーを家に入れたことで、老人と少年の交流が始まる。
可憐な少年少女作品には心洗われる。彼らの眩しさがまた、自分の汚らしさを際立たせるのだから、羨ましくもあり恨めしくもあり。
そんなhiroが見ても、これは叶わないと白旗降参なヴィンセント。不遇な一面に同情し、意地っ張りな一面にあるあると納得。だが、ことお金が絡むとNGだらけ。オリヴァーの輝きに当てられれば、掃き溜めのような大人。
「人のため」が一つのキーワード。たまたま隣人になったオリヴァーのためにヴィンセントは立ち上がる。教師が投げかけたある言葉がオリヴァーを刺激する。
ヴィンセントもまた、自己嫌悪の中でオリヴァーと出会う。こんな自分を必要とし、慕ってくれる存在に、頑なな彼の心がほんの少し柔らかくなる。本作「オリヴァーが教えてくれたこと」でもある。
二人の会話劇かと勝手に思ってた。ところが、意外なほどヴィンセントの内面を掘る。ヴィンセントというキャラクターが深さを増す。ベテラン・マーレイが円熟の演技。ナオミさん、メリッサさんら共演人の演技にも拍車がかかる。子役ジェイデンは天使。
最近、自己啓発系の邦題が多いな、と思ってたタイトルも、原題が少々ネタバレの匂いもあり、邦題の方が楽しみを取っといておける気がした。まあ、途中でそういうことかな、って空気にはなりますが。
自由奔放に暴れまくるヴィンセント。クライマックスだけ神妙になるのが違和感。スピーチで暴言吐いたり、耳元で「ファッキン」と呟くくらいありだったかと。
期待が大きすぎたのか、綺麗にまとまってたのが味を薄くした感。それでもクライマックスは泣けた。これはジェイデン君の力だね。
音楽の選曲は最高。特にエンドロールは余韻があり、いつまでも観ていたかった。
hiroでした。
脚本7 映像7 音響6 配役8 他(音楽)9
計37/50
ベトナムで戦友を救ったヴィンセントだが、敵兵は一人も殺してないのだろうか。そこだけは気になった。