71本目(8月28日鑑賞)

どこからだってやり直せる
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わたしに会うまでの1600キロ

監督:ジャン=マルク・ヴァレ/脚本・製作総指揮:ニック・ホーンビィ/原作:シェリル・ストレイド/撮影監督:イヴ・ベランジェ/音楽:スーザン・ジェイコブス
出演:リース・ウィザースプーン/ローラ・ダーン/トーマス・サドスキー/ギャビー・ホフマン/ミキール・ハースマン/W・アール・ブラウン/モー・マクレー/キーン・マクレー/ケヴィン・ランキン

メキシコからカナダへ向かう山河や砂漠の4000キロの道を歩いて縦断するパシフィック・クレスト・トレイル。アウトドアとは無縁の生活を送っていたシェリル(リース・ウィザースプーン)が人生を見つめ直すため、単独での挑戦を始める。
*主人公の歩いた距離は雪道を迂回したため1600キロ。

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ツボ!

語る言葉がない!
でも、見つけて語る!

4000キロを何カ月もかけて歩く。ルートもちゃんとあって、中継基地もあって、同じことしてる仲間がいて、何度もリタイヤしてはリトライしている人がいる。こんなビッグトレイルがあることにまず驚き。

危険。野生動物はいるし、天候だってあるし。女性なので別の危険だってある。保険とかあるのか? 緊急の場合のシステムはあるのか? 気になるけど…惹かれないわけではない。

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なぜ、こんな無謀をするのか。テントの設営も、火の点け方も知らない女性が。そこが壮絶。シングルの母に育てられたシェリル。苦境にありながらいつも輝いていた母。輝きながら早逝した母。母の死がシェリルの胸に大きな穴を開ける。

母とは全然違う自分。セックス依存に陥る。結婚しても止められず、ドラッグまで手を出して離婚。全てを失ったシェリル。誰も責められない。自分しか責められない。

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回想を挟む構成で記憶は抽象的。時系列の整理は必要だが、だいたいわかればいい。どんなにダメだったか。どんなに酷かったか。そしてどんなに自分のことが嫌いだったか。

だから歩く。爪が剥がれても歩く。シューズを失っても歩く。自分を追い込んでも答えが出ないから、肉体を追い込む。疲労で「考える」のが面倒になるほど追い込む。そこまでして、やっと見つけられる。

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シェリルご本人の体験を記した著書が原作。その後成功したから書ける美談とも受け取れる。奇跡は起きないけどもスピリチュアルな空気もある。そういうのが苦手な方は、評価がきっと低い。それでも、食べて祈って恋してるうちに自分を見つけるよりもリアル。これは好きそうだと思ったhiro…やっぱり好きだった。

美談だとしても、強烈なメッセージがある。もうダメだなんてことはない。どこからでもやり直せる。そこまで追い込まれたことはない。だからこそ、自分はまだまだいけると思いたい。

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ローラ・ダーン、ウィザースプーンの母娘。二人とも良い。良すぎる。
大自然やシェリルの思考を邪魔しない音楽が良い。ブルース・スプリングスティーンが良すぎる。

はまれば、常に眼球が潤いっぱなしの作品。女性なら特に感じるものが多いと思われる。北米の雄大すぎて怖いくらいの大自然はぜひスクリーンで。

「寂しくない?」
シェリルが応える。
「もっと寂しいところにいたから」
胸に刺さった。



hiroでした。


脚本8 映像10 音響8 配役9 他(音楽)9

44/50