HDD鑑賞 サマシネ・セレクション②

バカらしくも壮大で切ない夏物語
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サマータイムマシンブルース

監督:本広克行/脚本:上田誠
出演:瑛太/上野樹里/ムロツヨシ/永野宗典/本多力/与座嘉秋/川岡大二郎/真木よう子/佐々木蔵之介

夏休みの大学キャンパス。帰省するでもなく部室に屯する甲本(瑛太)、石松(ムロツヨシ)、曽我(永野宗典)らSF研と、柴田(上野樹里)、伊藤(真木よう子)らカメラ部の面々は、猛暑の中でエアコンのリモコンが壊れてひと騒動。そこへ突然、得体の知れない機械に乗っておかっぱの男(本多力)が現れる。

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夏に観たくなる映画というのがある。暑さを忘れる涼やかな作品というのも道理ではあるが、何故だろう、滅茶苦茶暑苦しい作品を観たくなるから不思議だ。

動かないエアコン、汗臭い部室、カメラ部の暗室…暑苦しいことこの上ないシチュエーション。暑すぎてハイになった大学生の怠惰なやりとりだけで、どこか懐かしい。

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そこに現れたタイムマシンと未来人。目の前に現れたタイムマシンをSF研が何に使うのか。…「1日前に戻ってリモコンが壊れるのを阻止する」!

コメディベースのまま、ホセ(佐々木蔵之介)の「よくわかるタイムパラドックス講座」の後は大騒ぎ。リモコンひとつで歴史が変わる。リモコンひとつで存在がなくなる。その重大さがわかってるのかいないのか。壮大なバカ騒ぎは終わらない。

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歴史と自分の存在をかけたミッションの陰で、静かに、ほのかに育まれる恋心。思わぬところから未来の事実を知る当人。それでも希望を失わないのがよい。

低予算コメディ、おバカでハイテンションな大学生…なのに壮大なスペクタルと純愛が、不自然なく同居。元々が劇団ヨーロッパ企画の舞台劇。その原案の精密さがあるのだろう。これは傑作。「踊る大捜査線」等多くのヒット作を持つ本広監督の間違いなくナンバーワン。

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瑛太が若い、上野樹里も若い、真木よう子はメガネ女子。今じゃなかなか実現できない顔合わせ。ムロツヨシは当時からアクが強い。蔵之介…今と変わらん。

舞台でも演じた永野宗典、本多力も出演してるのは、芝居好きな本広監督のこだわりか。

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新作の劇場鑑賞のみ採点している。なので、劇場ですら観ていない本作、採点対象ではない。もし、もし、採点するなら48点以上必至。大のお気に入り作品。未見の方には絶対オススメです。



hiroでした。
ぜひエアコンを切ってご覧ください。(笑)