BD鑑賞

 
かなり変化球 結構好き
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小さいおうち
 
監督・脚本:山田洋次/脚本:平松恵美子/原作:中島京子/音楽:久石譲
出演:松たか子/倍賞千恵子/黒木華/吉岡秀隆/妻夫木聡/橋爪功/吉行和子/室井滋/中島朋子/ラサール石井/あき竹城/笹野高史/松金よね子/螢雪次朗/林家正蔵/夏川結衣/木村文乃/片岡孝太郎/米倉斉加年
 
外祖母のタキ(倍賞千恵子)が亡くなり、遺品整理に立ち会う健史(妻夫木聡)と康子(夏川結衣)。健史の勧めでタキが自叙伝を記したノートを見つけ、タキが上京した第二次世界大戦開戦前夜の東京に想いを馳せる。
平井家に女中として雇われたタキ(黒木華)は、主人の雅樹(片岡孝太郎)と妻の時子(松たか子)、一人っ子で体の弱い恭一(秋山聡)の三人家族の暮らしを支えていた。ある日、雅樹の会社の部下である板倉(吉岡秀隆)が訪問してくるが、それ以来時子の様子がおかしいことに気付く。
 
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中島京子のベストセラー小説を山田×平松の子弟コンビで脚本化。役者陣は山田組の面々。華ちゃんのベルリンでの活躍が目を引く。

戦争気運高まる昭和の東京を背景に、「奥様の秘密」を知りながら、義理立てして誰にも言わなかったタキの辛さを描いただけなら底が浅い。戦後60年以上守り続けたタキの秘めた想いがそこにある。

原作未読ゆえ、真相不明。なので以下勝手で無責任な憶測。少々ネタばれありなので、鑑賞予定の方はこのあたりで。

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当時、タキは純粋無垢な少女である。時子は学生時代から女子生徒も憧れたマドンナ…と睦子さん(中島朋子)は言っていた。タキも当然のように、憧れを抱いたのではないか。

憧れの時子が「いけないこと」をしている。タキが感じたのは「お止めしなければ」という責任感でも道徳心でもない。むしろ道徳とは真逆の位置関係にある恋心だったのか、と思えてしまう。

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そう観ると、時子を見つめるタキの目線にも納得。板倉に対する想いも好意どころか嫉妬であったとすると、最後のオチも別の意味を持つ。

当時、同性に想いを寄せること自体、純粋無垢な少女自身に大きな衝撃だったのでは。大きすぎて、以後誰とも結婚することもできずに晩年を迎えたタキ。「長生きしすぎた」のセリフに、年月の重みがのしかかる。

山田監督にしては珍しく、観た人にイメージする余白を与えた作品…のような気がしたけど、考えすぎ?

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海外でも認められた華ちゃんは疑いようもない名演。日本人の悪い癖で、そこにばかり目がいく。hiroも鑑賞前はそんな感じかと思ってた。いざ、観終わってみると、やはり松さんの大きすぎる存在感が、この映画の真ん中にあるよう。口の悪い倍賞さんも然り。

「くれよんはうす」で絵本「ちいさいおうち」を広げる木村文乃ちゃんのおでこは「本当に美しい」と思ったりもした。(笑)
 
今年度日本アカデミー賞作品賞・脚本賞・助演女優賞等ノミネート
 
 
hiroでした。
元ネタ「ちいさいおうち」の絵本は大好きです。持ってますよ。
ずいぶん前の映画だと思ってたら今年の日本アカデミー賞の対象作品だったのですね。
 
 
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