28本目(6月1日鑑賞)

 
伊坂作品だから、ありなんです。
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オー! ファーザー
 
監督・脚本:藤井道人
原作:伊坂幸太郎
出演:岡田将生/佐野史郎/河原雅彦/宮川大輔/村上淳/忽那汐里/賀来賢人/駿河太郎/古村比呂/長江英和/広岡由里子/長原茂樹/榊原徹士/奥村知史/内田慈/橋本マナミ/矢島健一/柄本明
 
由紀夫(岡田将生)が生まれたとき、母は4人の男性と付き合っていた。4人の男性は、別れるくらいなら父親が4人でもいい、と奇妙な同居が始まる。
そうした事情で由紀夫には、大学教授の悟(佐野史郎)、ギャンブラーの鷹(河原雅彦)、体育教師の勲(宮川大輔)、元ホストの葵(村上淳)の4人の父がいる。
県知事選、不登校、心中事件、やばいアルバイト…彼らの周囲に起きるバラバラにみえた出来事が徐々につながり、由紀夫はその渦中に巻き込まれてピンチに陥る。息子を救うべく、4人の父親は立ち上がる。
 
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「高校生に見えない」岡田君(笑)
 
4人の父親…さぞかし面倒だろう、普通なら。そこは伊坂。4人が不仲でなければ、楽しくさえある。伊坂だから、それもあり。それほどまでに4人を虜にする母、どんだけ魅力的なのか。この母、最後まで顔は出さず。
 
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知的なパパは佐野さん。
 
4人の設定は絶妙。まるでマンガ。まるで有事のチーム編成。
インテリは佐野さん。アナリスト担当。
行動派は河原さん。この行動力は必須。しかも、地下の事情に詳しい。
体育会系は大輔。運動能力が優れた由紀夫の格闘コーチ。
元ホストの村上さんは、人脈を活かして情報担当。
終盤、由紀夫が問いかける。「ピンチなのに落ち着いてるよね」
4人は答える。「できることをやるしかないからね」
頼もしい4人である。
 
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行動派パパは河原さん。
 
紅一点は母ではない。由紀夫のカノジョ(?)多恵子(忽那汐里)だ。ウマがあったのだろう。由紀夫にというより、4人の父と。自然体の汐里ちゃん。いい存在感で、いい仕事。

そんな6人が、首を突っ込まなくていい事件にしゃしゃり出て、勝手にピンチになり、勝手に活躍して、勝手に解決してしまう。しかも自分たちの行動原理に沿っている。しかも爽やか。伊坂幸太郎の得意技。
 
今時、DNA検査で父はわかる。「重力ピエロ 」でも調べてた。あえてそれをしないのも、伊坂流。
 
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体育会系パパは大輔。
 
最初はかなり不安。伊坂幸太郎=中村義洋だと勝手な思い込み。このコンビは鉄板。ここに濱田岳と斉藤和義が揃えば超合金。「アヒルと鴨のコインロッカー」「ゴールデンスランバー」「フィッシュストーリー」「ポテチ」…どれも好きな作品。「重力ピエロ」の森監督・相沢脚本は異質。伊坂らしさに欠けていた。ただし二度目の鑑賞で、伊坂らしさ抜きでも良作だと発見したばかり。「ラッシュライフ」は…ノーコメントで。

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人脈使った情報担当、村上さん。
 
本作、聞いたことない監督。警戒。なんでも商業映画はこれが初。オープニングの「吉本興業」のロゴで不安も増大。どうだなんだろう、こいつ。おや、案外いいぞ、この人。ありえない設定で、自然に、一生懸命生きているキャラクター。伊坂らしさ、あるある。仙台ロケじゃないけど、結構いけます。中村イズム、肌で感じた。

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本作、いい顔、汐里ちゃん。
 
何かと目にする岡田君。「偉大なるしゅららぼん 」等万城目作品でもお馴染み。伊坂作品も「重力ピエロ」以来の二本目。なんでだろう、伊坂作品の彼は、イキイキしてる。「高校生に見えないんだけど」は劇中のセリフ。シアター中に笑いが起こり、意外な場面で一体感。(笑)
 
柄本父が出演。影の実力者・富田林氏役。「ゴールデンスランバー」の保土ヶ谷氏に見えた。(笑)
 
原作力に依るところはかなりある。未読なので、読みたくなった。
映画はもうキャスティングの妙味。大物すぎず、適度以上に実力派。岡田くんも汐里ちゃんも、心地よく仕事ができた模様。
派手なスタントも驚愕のCGもなし。むしろチープ。それもまた、伊坂らしい。
 
ラストシーンの岡田君、とにかく爽やか。
 

hiroでした。
みなさんの好きな伊坂の映像化作品、なんですか?
 

脚本7 映像6 音響6 配役8 他(原作愛)8
35/50