23本目(5月17日鑑賞)


ポテチ


観たい映画を観て、読みたい本を読んで、聴きたい音楽を聴く!-ポテチ1


先日、気になる作品としてご紹介いたしました「ポテチ」でございます。

これまで、何度となく映画化されている伊坂幸太郎作品ですが、この作品の監督・主演・音楽が、

監督・中村義洋=「アヒルと鴨のコインロッカー」「フィッシュ・ストーリー」「ゴールデン・スランバー

俳優・濱田岳=「アヒル…」(主演)、「フィッシュ…」「ゴールデン…」(共にメインキャストの一人)

音楽・斉藤和義=「フィッシュ…」(主題歌・挿入歌)「ゴールデン…」(音楽・主題歌)

と中村組と言っていいほどのメンバー。しかも前述3本同様、舞台となるのは仙台。伊坂幸太郎のおひざ元です。

特に「アヒル…」「フィッシュ…」「ゴールデン…」の3本は好きな作品で、伊坂ファンにも人気が高い。となれば鉄板。観に行かない手はない。

なのに躊躇した理由。68分という上映時間。劇場公開作品としては異例の短さ。アニメーション作品でさえ90分ある時代です。3Dでもなし、派手なアクションもなし。ならばDVDでもいいかな、と思ってました。


関係各位の皆様、大変申し訳ありませんでした。


とても、いい作品を観させていただきました。


その上、上映時間を配慮されたのでしょうか。

1300円という料金設定、まことに感謝いたします。



観たい映画を観て、読みたい本を読んで、聴きたい音楽を聴く!-ポテチ2

左から若菜・黒沢・今村


粗筋…といっても予告を観てしまえばおおかたわかってしまいます。空き巣で生計を立てる主人公・今村(濱田岳)は、地元の野球ヒーロー尾崎の大ファン。同居している恋人の若菜(木村文乃)はその執着を怪しがり、今村が何かにつけて頼っている黒沢(大森南朋)にその理由を聞く。今村と尾崎は…

バレバレだから言ってもいいんでしょうけど、マナーなので黙っておきます。たぶん、みなさんが想像している通りです。

問題は、それを知った今村がどういう行動をとるか、です。中盤、今村は淡々と日々を送る中で、明らかにいつもと違う行動を見せます。そのとき今村はその事実を知っていたことがわかり、観ている側も若菜と同じ目線で切なさを感じずにはいれません。

そうなんですよね、伊坂作品にはどれも切なさがあるんですよね。

で、涙がこみ上げるのを抑えきれなかった(あくまで僕の感情としてです)、ラストの野球の試合シーンに流れていきます。「尾崎~、ここだぞ~」と叫ぶ今村。何も知らない尾崎にも何かを伝えたかったのではないでしょうか。



観たい映画を観て、読みたい本を読んで、聴きたい音楽を聴く!-ポテチ3

仙台市民球場で撮影された観戦シーン。

右端が母の石田えり。



観終わって「短い」という感じはありませんでした。無駄な演出、セリフを一切省いた「渾身の68分」(予告編より)でした。長くなくても、3Dじゃなくても、いい映画はいい。中村親分に教えていただきました。


1800円払ってもいいくらいです。

けちけちしてた自分が恥ずかしい!


ちなみに、大森さん演じる黒沢というキャラクター。伊坂作品にしょっちゅう出てくるキャラクターです。「重力ピエロ」の映画化の際、「あれ、黒沢の扱い、あれでいいの?」と思った伊坂ファンも大勢いたことでしょう。


ちなみに、この作品中に中村監督自身が「中村親分(専務)」役で出演しています。最後にもおいしいトコロを捕ってっちゃいます。

ちなみに、竹内結子さん(「ゴールデン…」に出演。大森さんと夫婦の役でした)が3秒間のエキストラ出演をされているそうです。知ってはいましたが見つけられませんでした。


原作物の映画化というのは不人気なことが多い。なのに、どうして中村親分の伊坂作品はファンにも既読者にも人気があるのでしょう。たぶん、親分自身が伊坂ファンであり、端折ってはいけないツボをしっかりわかっていらっしゃるのであろうと。

親分、ありがとうございました。そして、この次もよろしくいお願いします。


そろそろいつもの〆。

伊坂ファンは絶対見ましょう。

既読者も絶対見ましょう。


…といっても上映劇場が少ないんですよね。

 近くでやってない人は、フィルムが回ってくるのを根気よく待ちましょう。




公式サイト



hiroでした。