私の部屋は汚い。

昔から汚い。

なぜなら掃除ができないからだ。

 

日本で妻と一緒に住んでいる時、妻が綺麗ずなので目立たなかったが、

フィリピンに妻が遊びに来ると最初の2、3日は部屋の掃除で時間が潰れると文句を言われる。

「あなたって、結婚する前の一人暮らしの時、こんな感じだったよね」と。

 

先日、友人と飲んでいる時、そろそろ身辺整理を始めないとねという話をした。

日本に帰る時は、本当に大切なもの以外はフィリピンに置いて行こうと思っていると。

「ゴルフバッグとゴルフシューズ、運動靴、服を何着か、それ以外は置いて行こうと思っている」と私は言った。

「何を置いていくんですか?」

「服は、最終出勤日あたりに全て会社に持って行って、持っていきたい人は持って行ってで住むし、

 もらって使ってないコーヒーメーカーや興味本位で買ったPS4やVRも使ってないから、会社のクリスマスパーティの時に景品で出そうかと思っている。

そういえば、ダイソンの掃除機いる?」と私は彼に聞いた。

「それは欲しいですよ。でも高いから持って行った方がいいんじゃないですか?」

「あと、ご飯炊く用の土鍋もあって、炊飯ジャーももらってあるのだけど、やはり土鍋の方が美味しくたけるし、前は使っていたんだけど、同じブランドの電子レンジでご飯炊けるやつを妻が昨年持ってきたから、いま使ってないけどいる?」と彼に聞くと欲しいというので、飲んだ後部屋に呼んだ。

彼が部屋に来る前、部屋汚いよと伝えておいた。

 

彼が部屋に来て、飲み物は何飲む?と聞くとキッチンに置いてあるボンベイ、翠、ジョニーブラック、シーバスリーガル18年、黒霧島を見て、シーバスの18年物が良いというので、グラスに氷を入れて炭酸水で割ったものを出した。

彼はソファーに座りながらそれを飲む

「やっぱり18年ものはうまいっすね。」と言い、その後彼は言った。

「でも、Hiroさん、マジで部屋汚いっすね」と私に文句を言い出した。

「こんな良い部屋に住んでいるのに、なんでここまで汚くできるんですか?

 普通、部屋の汚い人は仕事もできないはずなんですが、なんなんですかね?

 なんだか非常にアンバランスな感じがする」と色々と言われた。

「男って、こんなもんでしょ?」と私は反論した。

「いや、そんなことはない。いろいろな人の部屋に行きましたが、ここまで汚い人は初めてだ」と彼は言った。

それから何杯かお酒を飲み、彼がトイレを貸してくれというので場所を教えた。

「まじで、俺、Hiroさんのことリスペクトしてたのに、嫌いになりそうですよ」と彼はトイレから帰ってきて言った。

「洗面所ももので溢れているし、シャワールームも水垢があるし、なんなんですかね?」と散々な言われようだった。

 

土鍋を彼にあげて、彼が帰った後、思った。

今の私の部屋にはシャワールームが2つある。

妻は遊びに来ると、私が普段使っているシャワールームではなく、普段使ってないシャワールームを使う。

私は、汚いのだろうか?

だが、だからと言って部屋の掃除ができるわけでもない。

「今日、友達を一人なくした」とチャンドラーの『長いお別れ』のセリフを思い出しながらグラスに残っていたウィスキーを飲み干した。