私は昔音楽が好きだった。

ピアニストを目指していた時期もあると言えば、たぶん納得してくれるだろう。

しかし高校3年生からピアノを始めて、音大を目指していたのだから、

ただの無謀だったと今なら思う。

ただ、毎日死ぬほど練習した。そしてある日限界を超えて、ピアノを弾くのが辛くなり辞めた。

まあ、今では逆にいい思い出でもある。

ただ、ピアニストとは別の話で、中学生の頃にガンズに出会い、

私はそこから音楽にのめり込んだ。

ブランドメロン、ニルバーナ、スマッシングパンプキンス、ナインインチネイルズ、レッチリ、レイジアゲーンストマシンなど聞き込み、そこから60年代、ビートルズ、ザフー、ヤードバーズ、クリーム、ベルベットアンダーグラウンド、バーズなどを聞き込み、70年代パンク、ニューヨクパンクを齧り、

そして私はノイズの世界に傾倒した。

マイブラディーバレンタイン、ダイナソーJr、6by7などを聴き、最後にMogwaiに辿り着き、

メロディー云々ではもうなくなっていた。

サイドディッシュとしてラップやヒップホップも聞いていた。2Pac、Nas、DMXなどだ。

エミネムみたいな甘っちょろい音楽は聴かなかった。

そして、ある日音楽を聴くのが嫌になって聴かなくなり、オーストラリアに行った。

 

ただ、世界は音楽に溢れているので、街を歩けば自然と音楽が聞こえてくる。

ああ、こういう感じねと少し耳を一瞬傾けるだけで、部屋で真剣に聞いたりはしない。

中国では、アメリカ人、カナダ人、オランダ人、韓国人とバンドを組んでいたので、

そこで演奏する曲は、少し聴いたが、もうすでに音楽への情熱は無くなっていた。

当時の私の中での最高の楽曲は、Mogwaiの「Fear Satan(My Bloody Valentine Remix)」で、

それは今でも変わらない。そしてそれを超える曲はないと諦めて音楽を聴くことを、探すことを辞めたのだ。

 

日本からの出張者が先週からフィリピンに来ている。

もう音楽の話などすることもなくなっていたが、その出張者がすごく音楽の好きな人間で、

飲みながら音楽の話をし始めて、なんとなく最近の音楽を聴きたくなってきた。

部屋では聴いたことはないが、外でふとした瞬間に聴いた曲で、結構いいなと思ったのが、

COLD PLAYのSOMETHING JUST LIKE THATやChord OverstreetのHold onは、まあ好きかなという話をするとビヨンセの新しいのが結構いいですよと彼は言った。

飲み終わった後、部屋でYOUTUBEでTexas Hold Emを聴いてみた。

ああなるほど。上手いなと思った。

いろいろとビヨンセを聞いているうちに、レディーガガ系だなと思った。

別に新しい音楽をしているわけではない。でも、作り込みが上手い。

まあ、他の上手くもない音楽に比べれば100倍いいのだが。と思った。

 

なんとなく、音楽の情熱が戻ってきた。

でも、これは若い頃の、新しい音楽を探求するものではなく、

普通に日常に流れる音楽として、今度は聴き始めていいかもしれないと思い始めている。