「フィリピンって可愛い人多いですね」と彼は言った。

「それはどこに行って、そう思ったんですか?」と私は聞いた。

 

先週、取引先の会社に新しく日本から出向者が来たので紹介させて欲しいと担当者が連れてきた。

最初の印象は若いなだった。

私は絶えずAGE IS JUST NUMBERと言っているので、年齢は基本は関係ないと思っているが、

東京の本社に人を出せとお願いしても、最近の若い人間は海外に行きたがらないから少し時間をくれと

ずるずると今まで来ている。

「若いのに海外に出向してくるのは珍しいですね。でも、実際は若い人でも海外志向の人は多いんですか」と私は質問した。

彼は、公募があり、それに応募したのは10名で、それが多いのか少ないのかはわからないが、面接を経て海外勤務の機会を得たが、フィリピンとは考えてなく、少し落胆してこちらに来たが、来てみると実はいい国だったので良かったという意味のことを言った。

「それにフィリピンって可愛い人多いですね」と彼は言った。

「それはどこに行って、そう思ったんですか?」と私は聞いた。

「フィリピンパブです」と彼は照れながら言った。

「日本でキャバクラとか行きました?」と私は聞く。

「あんまり行ったことないです」と彼は言う。

「日本でもキャバクラに行ったら、綺麗な子ばかりですよ」と私は訂正すべきことは訂正した。

「そうかもしれませんが、ただ、フィリピンに来て、すごく自分がモテるようになって、自分はフィリピンに合っているのだと思いました」と彼は言った。

「なるほど。そうなのかもしれないし、もしかしたらそうじゃないかもしれませんね」と私は言った。

「どういうことでしょうか?」

「日本語で歌の上手い人は、英語で歌を歌っても上手い可能性はありますが、日本語で歌が下手な人は、英語で歌えば上手くなるということはないってことです。まあもちろん、フィリピン人の気質にバッチリハマってすごくモテるという可能性もありますが」と私は言った。

「Hiroさん、あんまり弊社の新人をいじめないでください」と担当者が笑いながら言った。

「いや、Tさんもなんで教えてあげないんですか?」と私のその担当者に言った。

「彼は、まだ結婚もしてないし、それにフィリピンパブで騙されるくらいなら、まあそれほど問題ではないかと思いまして」

確かにそれには一理あるなと思った。

フィリピンで日本人に関した犯罪は減っている。

どちらかと言うと中華系、台湾、香港、中国本土の人間に対する犯罪も増え始め、

さらに言うとフィリピンでの人気も彼らの方が高くなっている。

要は、日本人って、昔ほどお金持ってないよねとバレ始めているからだ。

ただ、それでも一般のフィリピン人よりはお金を持っているので、まだ、モテるのだろうなと思った。

それに私が彼の人生にとやかく言う必要もないなと思った。

私は、若い頃から中国や10年前からフィリピンで、女性に溺れて行った男たちをたくさん見てきた。

彼も自分でこれから学んでいくことだなと思い、私はそれ以上何も言わなかった。