歳を取ると知らぬ間に体に青あざができている、と聞いたことがある。

理解できない話ではない。

体と精神の乖離により、空間把握能力や動作性が落ちるのと感覚が鈍くなるからだろう。

 

木曜日、飲みに行き、かなり酔っ払った。

久しぶりに二日酔いにもなった。

「昨日、無事に帰れた?」と翌朝友人からLINEが入った。

テキーラは二日酔いになるとわかったと返事をした。

「無事ならよかった。テキーラというより、ボンベイもかなり飲んでいたので、二日酔いはトータルの量じゃない」と彼は返信してきた。

 

その飲み会には、昔から我々を知っており、昨年日本に働きに行って最近フィリピンに戻ってきた女性も参加していたが、

「昨日無事に帰れた?かなり酔っていたみたいだったから」とLINEが彼女からも来た。

この子からも心配されるくらいだったのか?

「酔っ払って変なことした?もしくはセクハラとかしちゃった?」と私は心配になって返信した。

「はは。あなたはそいうことはしない人だけど、でも、酔っ払って先に帰ったし、それに帰る時財布に入っているお金全部置いていったのにどうやって帰ったのかなって」

「普通に歩いて帰ったよ」

「ウェイターがあなたはタクシーで帰ったって言うから」

「僕は、健康な両足を持っているから、いつも歩いて帰ってるよ。タクシーは使ったことがない」と私は言った。

「お金持ってないないのに酷く酔っ払っているようだったし、タクシーで帰ったとウェイターは言うしで、それでみんなで心配していたの。でも、無事ならよかったわ」と彼女は返信してきた。

確かに前日の記憶はあやふやだ。覚えているのは、部屋に戻る道のりが永遠に続くように感じたことだけだ。

 

昨日、仕事を終え部屋に戻るとカウンターキッチンに置いてあるはずのタンブラーやプロテインのシャイカーが床に散乱していた。そして、ジムに行くために裸になり、着替えている時にお尻の側面に大きな青あざができていた。

こんなに大きな青あざができているのに気づかないなんて、私も随分歳をとったんだなと思った。