フーテンひぐらし -4ページ目

フーテンひぐらし

永遠の放課後。文化祭前夜のテンションで生きたい。なかなか大人になれない。

1月以来の美容院。目黒川のすぐ近くにある。桜見物客は川と並行に色とりどりの横糸みたいにぞろぞろと歩いている。私は自転車でたった一本の縦糸を通すように、そこを突っ切る。
長く伸ばしてくるくるとパーマをかけたいのにどうしてもそこまで耐えきれない。またしてもショートボブに落ち着いた。
担当のUさんのお酒と煙草の話でげらげら笑う。煙草は子供が生まれる時にきっぱりやめたのだが、その前は超のつくヘビースモーカーだったUさん。お金もなく、「いかに素早くニコチンとタールを取り入れるか」という欲望に従った結果、煙草の葉を持ち歩きそのつど紙で巻き、フィルターなしで吸うという方法に落ち着いたそうだ。「それ…映画でしか見たことないやつだ!」「そう(笑)しかも当時は腰までのドレッドヘアだったから警察によく職質されたんですよ。ビニールに入った葉っぱが出て来た時の警察の『ほーら出た!』感すごかったですよ。僕が煙草だって言っても全然信じてくれなくて、試験管にリトマス紙浸して『あれ…??』ってがっかりしてました」…おもしろい。
4時間かけて縮毛矯正とカットをして、また花見客を突っ切って帰る。驀仙坊でせいろと季節ごはん。たこの唐揚げとズッキーニがのっていて美味しかった。花見客でごった返す道のすぐ近くだけど、時間が中途半端なせいか、思ったより店はすいていた。


先日のクラブチッタで数年ぶりの声出し解禁(氣志團GIG)を体験したばかりだけど、今日はついに数年ぶりの声出し解禁PGMだ(いずれもマスク必須)。GIGの時と同じく、やっぱり最初は無意識ストッパーがかかって、出せと言われてもなかなか声が出しづらい。でもLINQさんのすんごい盛り上げ力で徐々に皆が温まり、声がでかくなっていった。曲に合わせた「Hey!Hey!」や、パフォーマーの「Are you ready?」に応えての「Yeahhhh!」など、懐かしさと爽快感がすごかった。何でか「わっしょい!わっしょい!」って叫んだりもしたけど(笑)
パフォーマーがロードを降りて個別煽りに来ることも解禁になったので、二列目にいた私のところに二度も煽りに来てくれてすごく嬉しくなった。そうそう、ビーモンの楽しさってこれだったなと思い出す。

そういえばYUUKIの曲ことAvicii 「The Nights」がかかってしまったので、どうしてもサビ前はシンガロングしたくなったし、「Hey!Hey!」は曲と同じタイミングで言いたくなった。思い出がすごい。Kさんvol.2の「プロパーガンダー!」も「銃のお渡し係」も一気に思い出した。いやあ思い出がすごい。

“盛り上がり”って「解禁です、ハイみなさんどうぞ!」では全然むりで、LINQさんみたく「パフォーマーが率先して動きまくって空気を作り、参加者が自然に熱を帯びる」という流れでしか生まれないと思った。


人が作り出す空気は少し遅れて相手に届く。そして、いい空気もわるい空気もスン…とした空気も、自分が思ってるよりも広範囲に、深く影響する。
 

以前みかけた気になる人たち

確定申告を締め切り2日前に出し終わった。当日の税務署はたいへんにカオス。税務署員の皆さんは揃って忙殺されており、必要書類を自由に持っていける棚はイノシシが突っ込んだのかと思うくらい荒れていた。「この用紙とこの用紙の棚がカラなので下さい」とお願いしたら長い時間待たされた。同じく用紙待ちのお兄さんと「まだ来ないですねー」と話してるうちに私がお兄さんに書き方のレクチャーをする流れになったりして面白かった。「あっ、すいませんついでにもう一つ質問してもいいですか?(お兄さん記入済みの用紙を取り出す)これ何か抜けてる箇所ありますかね?」「えーっと…こことここ、計算した数字を書かなきゃですねー」「なるほど!ありがとうございます!」俺に分かることであれば聞いてくれ。たすけあい・宇宙。

そうして無事確定申告が終わったら、これまで「確定申告作業が大変だからさー」と言い訳してスルーしてきたあまたの現実が目の前に待機していて、ちょっぴりつらい。小さなこととしては原稿の締切。大きなこととしてはこの先の人生(大きすぎ)。

今週は週4日、計5コマもジム(ビーモン)に行ってしまった。こないだまでは「年齢的にもあまり無理をせず、低強度のPGMを週2〜3回にしておこう」と思ってたんだけど、自動脂肪蓄積機である更年期ボディを何とかしようとするならそれでは生ぬるいと悟る。めっちゃ動いて、家でめっちゃほぐす。そうしてやっと「前日より少し締まったかも」になってましたわ…。

以下、恒例のWOWOWで観た映画。

「女神の継承」
観たかったやつ。「哭声(コクソン)」のナ・ホンジンが原案・製作したタイと韓国合作ホラー。タイ東北部の村で脈々と受け継がれてきた祈祷師一族の血。その一族である若く美しい娘ミンが豹変していく。
「和ホラーは見慣れてても韓国ホラーはその雰囲気だけで既に怖い!」と「哭声」で思った私。タイ東北部のホラーはもっともっと雰囲気だけで怖かった。常に雨降り直前みたいな薄曇り。緑が濃い。画面から漂う湿度が強い。見慣れない神の像。何も起こってないのにもう怖いんよ。
物語もモキュメンタリー(ドキュメンタリーふうに撮るフィクション)なのでリアルに見える。前半怖かった。
しかし後半、物語が疾走し始めたあたりから私は「うーむ」となってしまった。「怖がらせにきてる」と感じてしまったから。怪異現象やらグロやらどんどん放り込まれるのでちょっと興ざめ。クライマックスの廃墟での「儀式」に至っては、POV始めあらゆるホラーの様式が出血サービス♫みたく展開されすぎて笑ってしまった。やりすぎてもう怖くない。いや見た目はグロいし痛いしイヤなんだけど、ゾゾゾ…としないんですよ。最初は「タイ版エクソシストだ」と思ってたんだけど、あのくらいに抑えてほしかったなーと。せっかく装置(タイ東北部の雰囲気・土着信仰)がじゅうぶん重くて怖い空気出してたのだから。
それでも、取り憑かれるミンを演じたナリルヤ・グルモンコルペチさんの演技すげえでした。スリムで手足長く、それが変なふうに動くとほんと怖い。祈祷師ニムを始め、他の役者のみなさんも存在感抜群。
あと一点、「若い美女が取り憑かれたらこういうふうに壊れていってほしい」みたいなのがちょっと多くてそこはンムムーーーと引っかかりがありました。


「LION/ライオン 〜25年目のただいま〜」
インドの田舎の少年サルーが迷子になり、遥か遠くの街でひとりぼっちになってしまう。そこから彼の運命は激変し、25年が経過。青年になったサルーは生まれ故郷の町を探す…という物語。どこか「スラムドッグ$ミリオネア」を彷彿とさせるのは、主演が同じデーヴ・パテルだからか。
アクティブで華やかでかっこいい側面じゃない方のインド。小さな子供が1人で困ってても大人たちは邪魔にし、寄ってくるのは主に悪い奴。こういう「迷子」は山ほどいるのだろう。今作の主人公は奇跡的に(生命の安全という意味で)幸運なルートをたどれたけど、そうじゃない子の方が大半のはず。
子役のサニー・パワールくんがとにかく素晴らしい。泣いたり叫んだりがほぼなく、絶望したり怖くなったり考え込んだりをほとんどまなざしと抑えめの表情で表現しているのがリアル。自然すぎて演技には見えずドキュメンタリーに見えてしまうので、いたいけで心配で終始胸が締めつけられる。デーヴ・パテルはもちろんのこと、ニコール・キッドマンも、義弟マントッシュ(ディヴィアン・ラドワ)も、兄グドゥ(アビシェーク・バラト)も、よかった。質のいい作品を堪能した…という感じ。そして何よりすごいのはこれが実話だってことだよ。

「PLAN75」
テーマ的に本当はあんまり観たくないんだけど観ておかなくてはと思って観た。「75歳になったら自らの生死を選択できるシステムがある日本」のお話。プラン75はいかにも、ほんっっっとにいかにも日本らし〜〜い運営のされ方で、それがたいへん静かで穏やかなディストピアになっていて、とんでもなかった。
役所など公共の待合室に設置されるプラン75のプロモーション映像。高齢者モデルが穏やかな訳知り顔で「死ぬときくらいは自分で選びたいじゃない」「ほら、孫たちにも迷惑かけたくないでしょ」と語りかける。炊き出し会場にも申し込みデスクを置く。「住民票がなくても申し込めます」の親切な張り紙。民間企業の主催する豪華ホテルでのプラン。だーれも強制してない。だーれも年寄りに暴言なんて吐かないし冷たくもしてない。映画の中にも(冒頭を除き)悪い人いじわるな人が全く出てこない。みんな優しい。でも主人公始めとする当事者は、死を選ぶ方が皆のため自分のためだと思わされ、そうせざるを得ないようになり、善意と効率の道の上を歩かされていく。このことが、正直「女神の継承」よりずっと胸くそ悪くて怖かった。ものすごくありそうだもん。すぐにでも稼働できそうだもん、今の日本でこれ。
「こんな制度やめろ!」と誰かかが立ち上がる。「みんな、ここから逃げよう!手を取って生きよう!」と主人公が叫ぶ。どうしてもそういう劇的なことを期待して願ってしまう。が、そう進まない。誰も「やめたら」「やめたい」とは言わない。プラン75担当の市役所職員。フォローアップする電話オペレーター。「現場」ではたらく外国人労働者。そして主人公を始めとする高齢者たち。この目線でただ淡々とお話は進んでいく。それぞれの抱える複雑な思いは叫びにはならない。それがとても現実的。
実際はもっとモダンでシャキッとしてる倍賞千恵子だけど、実年齢そのままで「老い」の雰囲気をさらけ出して演じていて、ものすごくものすごくよかった。これ何で日本アカデミー賞主演女優取れんかったん?
うちの母に似ているぶん観ていて非常にしんどかったし、さらには「これは将来の私じゃないか」と思ったら自分ごとになってもっとしんどくなった。いやー無理。「これはアリだと思う」という意見があるとして、その理由も分かる。でもそれでも、無理だしやめなよと言い続けたい。そのために何ができるだろうと考える。
定食屋さんでぼんやり外を眺めるおじさんの背中がナイフのように胸に刺さった。そしてラストの倍賞さんは本当にもう…観て欲しい。

2000字の原稿をほったらかしてブログで3000字書いてる場合ではないのよ…。
 

 

このポスターデザインが優勝だと思う

 

子役が優勝

 

倍賞千恵子が優勝オブ優勝

 

目黒川の桜ですが「人気ルート」からはずれた池尻寄りのここが一番早い開花。三分といったところ。中目黒寄りの桜はまだ全然ですね。

昨日(土曜日)にやっとこさすべての書類を清書して、ぶじ確定申告作業が終わったのです、ばんざい!明日税務署まで出しにゆくぞ。そして今年こそは経費精算を毎月するぞ…(毎年言っています)

始まる予定だった仕事がいくつか保留中なため、この1ヶ月くらいは確定申告の地味な事務作業だけをひたすらコツコツやって息抜きはビーモンと夜のTVくらいだったので何というか能動的な語彙力が死んでいる。運動楽しかったーとか、これ観て面白かったーとか、そういう言葉しか思い浮かばない脳みそに成り下がっている。

ずっとお風呂でちびちびと読んでいた蟹ブックス・花田菜々子さんの「本屋閉店開店日記」を読み終わってしまった。もっとずっと読んでいたかったな。
これは高円寺の蟹ブックス開店におけるクラウドファンディングのリターン品。一緒に送られてきた「蟹ブックスができるまで」と併せて、ひとつの本屋(日比谷コテージ)の閉店と、自分たちでやる本屋の開店までのドキュメンタリーを丁寧に見させてもらった感じ。「蟹ブックスができるまで」だけ先に読んだ印象は「とにかく楽しそうでうらやましいな」だったけど、日記の方も読み終えると「いやあ…ひとつのお店を立ち上げるってものすご〜く大変なんですね…」という気持ちになった。
一緒にお店をやる二人に対して花田さんがしばしば「遠慮せずに思っていることや意見をはっきり言ってほしい。違っていたら違うと言うから」と繰り返しているところにめちゃめちゃ共感した。私もそういうふうに言うタイプなので。でも相手はただ遠慮しているだけでなく、それぞれの考えやスタンスがあるんですよね…。そのあたりはやっぱり「お互い腹割って言葉にしないと何も伝わらないじゃん!」と思ってしまうのだけど、言わない人には言わない理由もまたある、ということだろう。そして自分は何もかもさらけ出していると思っているけど、相手にとってはそうではない、という部分もあるのだ。

実はまだ蟹ブックスには行ったことがないので早く行きたい。物件も壁も棚も内装も並んでいる本も、そしてカウンターに座るみなさんも、どう苦労してそこに存在しているのかを知ってしまったので、好きになる予感しかない。

以下は最近WOWOWで観た映画のかんたんな感想。

「燃えよ剣」
鬼平も忠臣蔵も大奥も幕末も坂本龍馬も白虎隊も好きだけど、なぜかぜんぜん通ってこなかった新撰組。なのでイチから知るつもりで観た。とても面白かった。まず画面がキラキラ明るくなくて、暗い色調の泥くさい感じなのがよかった。新撰組といえば、のあの水色×白の衣装じゃないのもまた良し。役者陣もみんな良かったな。病弱なだけでなく素直でほがらかな沖田総司を山田涼介が演っていてとてもハマッていた。それにしたって岡田准一は体幹とキレが凄すぎるので殺陣がもう別格というか、格闘技というかアクションであった。


「ザ・ロストシティ」
前半笑いっぱなしだった。そしてブラット・ピットの使い方にしばし呆然としたのちすげえな…と思った。チャニング・テイタム好きとしてはこの映画のチャニングは最高でしかない。登場シーンで「ダサくて笑える」というていで踊るけどそれすら美しい動きになってしまってボケきれてないのがさすがだ。でも「ちょっとバカでポンコツだけど最高のセクシーボディと忠犬のような誠実さを持っている」って役をイージーに「最高!」っつって拍手してしまっていいのか何度も迷う。男女逆だったらまあまあ失礼な消費ではないのか…?など考えた。考えつつもチャニング・チャームにやられっぱなしだった。彼は女性を癒す役が本当に似合ってしまうな…。


「エルヴィス」
さすがに全く世代ではない。プレスリーはもう完全に伝記上の人物レベル。愛するマイケル・ジャクソンがリスペクトしていたよなーという程度の知識で観た。
冒頭のWBとエンドロールのまわりの装飾のギラギラがまず最高。そして何なんすかオースティン・バトラーの憑依っぷりは…!「ボラプ」におけるラミ・マレック同様、最初は「ぜんぜん似てないな」と思うのだけど途中からもうそんなことどうでもよくなって、オースティン・バトラー自体の魅力にノックアウトされてた。唯一無二の動きや歌い方がすごい。キングオブロックである納得性がすごい。そしてまさかほとんど彼自身の歌唱だとは!言い方が下品ですけどもうめっっっちゃエロいのですよオースティン・バトラーが。だからこそ女子がみんなキャアアーーと熱狂し、「腰の動きが卑猥すぎる」という理由で規制されまくったところに説得力がある。
そして黒人音楽を取り入れ、黒人ぽい動きをしているということがこんなに堂々と「悪!!」とされていた時代について「ハァ???」って驚愕するし、プレスリーのどこが革新的ですごかったのかもとても分かりやすかった。
そしてスターであるがゆえ、人々のデカすぎるLOVEと引き換えに心身ともに「フツーの幸せ」からガンガン遠ざかっていくさまがあまりにしんどすぎた。パーカー大佐憎し。スターであればあるほどきちんとしたブレーンを持つことが大事なんだな。ほんともっとどうにかしてあげられなかったんだろうか、晩年のプレスリー。

 

 

蟹ブックスからのリターン品。「蟹ブックスができるまで」「本屋閉店開店日記」。香山哲さんの絵もすごくいい
 

確定申告作業。毎度おなじみの項目はサクサク進めてるのだが、今年は医療費控除と寄附金(微々たるもの)と赤字繰越が発生したのでちょっとした質問事項がうまれた。口頭で何とかなりそうだから税務署の確定申告のところに電話した。そしたら「担当とつながるまで15分待ちになります」と言われた。通話料かかったまま15分待ちはむり…!というわけでちょっとめんどくさいけど作成会場まで行って質問することにした。

水曜日は20℃超えのぽかぽか陽気。道ゆく人も一気に薄着。私も今年はじめて冬のアウター以外のものを着た。会場であるベルサール渋谷ファーストまで渋谷駅から六本木通りをてくてくのぼってゆく。ゆきかう外国人男性の9割が半袖一枚でさすがだった。1人のひとなんか半袖アロハ、短パン、サンダルばきで頭にサングラスがのっていて、完全に夏が訪れていた。

2年前、赤字繰越の書き方を聞きにここに来た時はコロナ対策真っ只中で、しかも提出期限が1ヶ月延長になってたタイミングだった。なのですんなり入れたのだけど、今年はすごい。整理券をもらうまでにうねうねと行列が続いている。質問だけしてさくっと帰ろうとしていた私はちょっとげんなりした。
でもほんとあれだね、日本人ってのはこういう「行列順番待ち→会場誘導」みたいなシステム作らせると天下一品だよね。誘導する側は大変にきめ細やかで、待つ側も粛々と整然と並んでいる(まあ海外がどうなのか知らんのだけど)。整理券もらったあとはものすごくスムーズに会場入りできたしすぐ質問できた。誘導スタッフのみなさん、税務署員のみなさん、ありがとう。

そのあとは並木橋付近でカオマンガイを食べて、八幡通りから代官山に抜けて、蔦屋書店で本買って、中目黒まで。たくさん歩いたので、いつものカフェで珍しくケーキなど食べた。
 

 

渋谷カオマンガイのごくシンプルなカオマンガイが好き。パクチーおかわり自由

 

 

並木橋に向かう途中にあった昔ながらの魚屋さん

 

「春菊ボウル」だと…?観葉植物のルックスで毎日新鮮な春菊が採れる!
絶賛春菊ブーム継続中の私のための一品じゃん

 

アマゾンカカオとオレンジのムース@カフェファソンBASE Tokyo.