○○ザイル物語【第1話】 | フーテンひぐらし

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永遠の放課後。文化祭前夜のテンションで生きたい。なかなか大人になれない。



■9月末


「社員総会で出し物をしない代わりに、
 11月の創立記念パーティーで何かやろう」


とゆーことが決まり、酒の席でまずはハラダに軽く振る。


すると今年のハラダ、頑として首を縦に振らない。
「もう絶対にやらないって決めたから」
サシ飲みで何度か朝まで議論しても、頑固である。


「一体誰に望まれて、何のために、俺たちはやるのか」
みたいなそもそも論になる。



むうー。
奴の言うこともすごくよく分かる。


それでもな、やろうとしか言えんのだよ。





■10月9日(火)


いつもの「総会ネタ決めmtg」は、私とハラダと宮城で
雑談をしながら、DVDなど観ながら案を出すのだが、
今回はハラダが無理そうなので宮城とサシで。


中目黒の飲み屋で席につくなり、


「俺やりたいことがあるんだよ!」


大変めずらしい。
いつもどちらかというと案を積極的に出さない宮城が
こんなに意気込んでいるとは。



「お前こないだの“めちゃイケ”観たか?」


「いや」


「岡村のオファーシリーズで、今回EXILEと踊ったんだけど、
 これがすんげーーカッコよくてすんげー感動すんだよ!」


「ほえー」


「Choo Choo Trainとか踊っててさあ…」



Choo Choo Train


あたしはバリバリのZOO世代で、PVも何度も観、
写真集まで持ってたくらい好きだった。


どうしてあたしはこのメンバーの中に入ってないんだと
歯がみしたくらいだった。


(ついでに言うとHIROくんに恋焦がれてたラブラブ



だからあの曲は憧れである。
ただ、今まで特に「いまそれをやる理由」がなかった。


「そうかー。岡村がやったなら、“今が旬”だね」


「だろっ?」


不思議なもので、ハラダがいなくても、
こうして代わりに宮城のテンションが上がっている。



その後「ダンス前のVTRをどうするか」という話になり、

「“HERO”がいいんじゃねえか」

とこれまた宮城のアイデア。


確かに劇場映画が公開されてる今(10月頭時点)旬だし!


たった1時間ほどのmtgでトントン拍子にやることが決まり
(しかもほぼ宮城のアイデアのみで)、
そのままテンション上がって2人で中目黒TSUTAYAへGO。

HEROのサントラや、EXILEのDVDなど購入して解散。





■10月11日(木)


今回はじめて、ダンスだけでなく歌もやるため、
普段は男性ボーカルグループのリーダーとして活躍し、
TVCMなどにも出ているⅠくんにオファー。

ケミストリーの川畑似で、普段「あの人EXILEぽいよね」と
言われている彼はうってつけである。
プロである彼にノーギャラ&素人共演を頼むのは
気が引けていたのだが、喜んでOKしてくれた。




■10月12日(金)


この日までに、だいたいのダンスメンバーの選出。


いつものとおり条件は


・仕事を頑張っていて成果を出している人


・何のメリットもなく休日もなくなる
 この数週間の練習を頑張ってくれるベンチャーな野郎



そして今回、過去最高に難易度が高いと予想されるため


・運動能力の高いオトコ


という条件も(笑)
メンバー選びはかなり難航。


私の意思は及ばない。
役員も含めての最終判断。



いきなり個別に呼び出され、
ノートとペン持って戦々恐々と会議室に入ったら
「そういえばあの案件どうなってる?」と聞かれて
ますます「ああ、俺怒られるんだ」と青くなったら
「実はさ」と切り出されるオファー。



安堵と、驚きと、これからの果てしない不安と(笑)



「あのときの1人1人の顔、本当ビデオに撮りたかった。
 みんなすんげえいいリアクションだった」
と宮城。



夕方、「めちゃイケ」の録画を観てくれたちえこりんから
使用曲とだいたいの流れを教えてもらう。そして



「岡村の“オカザイル”、Youtubeにアップされてました」



と教えてもらう。

観た。




すすすげーーーー岡村 えっ




一気にテンションあがる。



メンバーが決定し、
「明日俺の家で顔合わせ」と宮城から通達。
実は「めちゃイケ」鑑賞会である。


ハラダも声をかけておく。