[「プリティーリズム この4年⑥」は,2012年後期から2013年内までの,プリティーリズム(R)を中心としたキャラクター業界の概要をまとめたものです.]

それは,ディアマイフューチャーが本格的に滑り出し始めているときから計画が始まっておりました.
それまで,SEGA(R)及びバンダイナムコ系では2011年度内に「リルぷりっ(R)」を撤退させて以来 女の子向けのアーケードゲーム機材はプリキュア(R)とたまごっち(R)しか取り柄が無かったのです.
しかし,2012年07月から開催の「ちゃおサマーフェスティバル」に於いて,バンダイナムコ系は,全く新しいデータカードダス(R)のシリーズを 堂々としたかたちで登場し,業界をあっと驚かせたのであります!

それが「アイカツ!=アイドルカツドウ!=(R)」というデータカードダスシリーズの誕生でした.

アイカツはプリキュアやたまごっちとは全然違った角度から誕生させたキャラクターによって組織され,その機能の最大の目的は フィギュアスケートが主体となっているプリティーリズム(R)よりも幾分簡素化された「オーディション」を具体視する内容で進行されること,となるわけです.



(C)BNP / BANDAI
(C)BNP / BANDAI,DENTSU,TV TOKYO
(以下同様)

まず,それまでプリティーリズムでは考えられなかった宣伝活動の一環として「スペシャルコラボパートナー」という制度を確立させ,初代パートナーには当時AKB48に所属していた板野友美氏を起用,これにより 多くの女性はもとより 女の子向けのゲームに未知無用な状態にある成人男性にまで客引きを誘(おび)き寄せることに成功,アーケードゲームはそういった状態のなかの2012年10月25日に供用開始となりました.

このアイカツの登場に際しては,プリティーリズムも多少意識していたもようです.
そのプリティーリズムも 小学生以下を対象にしたキャンペーンとして「プリティーリズムにデビューしちゃおうキャンペーン♪」を2012年10月27・28両日に展開し,「シーズン10のノーマルストーン+『はじめてブック』+スペシャルDVD」の3点セットを進呈するという対策を講じてきました.
このときは,まだプリティーリズムに勝ち目はありました.アイカツのスケールもまだまだ小さかったし,プリティーリズム側でもNINTENDO 3DS(TM)のソフト化や次作品に向けた計画などを綿密にたてていたためです.

しかし,翌2013年の年明けとなると,いわゆる「プリティーリズム離れ」が表面化されてゆきます.それでもプリティーリズムは同年春の3DSソフトの発売に向けて1人でも多くのファンをかき集めようと随分必死な勢いでアイカツ移民を牽制しておりました.
その一環となって同年03月23日(土曜日)に開催したのが「プリティーリズム ドリームフェスティバル」でした(エイベックス・エンターテイメント(当時)1社の主催).




(C)T-ARTS / syn Sophia inc.
(C)T-ARTS / syn Sophia / テレビ東京 /  PRD製作委員会・PRR製作委員会
(以下同様)

前年03月30日の「プリティーガールズ ドリームチャレンジ2012」以来 ほぼ1年ぶりのプリティーリズム関連催事となりますが,開催地を東京・有明の東京ビッグサイトとしたのは,同日(厳密には23日と24日(日曜日)) この会場で「2013東京国際アニメフェア」(現・ANIME JAPAN)が開催されるのを機に より多くの集客を望んでいたため,と考えられます.


一方で03月20日に発売された「プリティーリズム マイデコレインボーウエディング」は ユーザーの間でも大変な関心を持ち,催事当日も多くの方々がこのソフトを身につけた3DSを携えていました.
前回のようなギネス(TM)世界記録事業こそはありませんでしたが,この催事を機に 幾つか新たな事業の予告がアナウンスされました.




なかでも注目されたのは,プリティーリズム史上初めて株式会社サンリオとのコラボレーションが実現されたことです.PrismStone(R)は恒例キャラクター My Melodyと組んで1種2類のトップスコーデをプリズムストーンブランドの名義で展開,一方でTシャツとしても市販されました.
なお,この催事のために山口県から上京された プリティーリズムの好きな女の子・岩村まいさんが,3部からなるファッションショーのうち前半2部続けてPrismStone賞を獲得しております(岩村さんも前年のファッションショー参加者数ギネス世界記録に参加を希望していましたが,このときは家内の事情で参加できませんでした).

一方,ゲーム機材とテレビアニメのタイトルも新年度に併せて大幅にチェンジされます.決定前当初からわたしも次代のタイトルが「プリティーリズム・レインボーパラダイス」となるのでは…と予想はしていましたが,いざ蓋を開けたら,予想はほぼ当たりました!
新シリーズのタイトルは「プリティーリズム・レインボーライブ」と決定し,アニメのキャスト陣も大幅にリニューアル,新たな状態のなかで2013年04月07日にスタートを果たします.




また,ゲーム筐体のバージョンも04月18日からチェンジされ,これまで「シーズン」と呼ばれていた時節ごとの単位を「セッション」に改めました(当局では引き続き「シーズン(セッション)」という状態で記しておきます,また 各シーズンの詳細については次回⑦でまとめて申し上げます).

しかしながら,アイカツへの大移動に因するプリティーリズム離れは,一向に治まらないどころか,逆に「2013年はアイカツの年!」と揶揄されるの如く,プリティーリズムは とうとう太刀打ちできなくなってしまいました.
まず考えられる原因は,前作ディアマイフューチャーのシーズン13「総選挙選抜編」が 従前のコーディネートで大勢を占めていることから ネット上で「不評」と「反感」に激怒されている点でしょう.シーズン13がディアマイフューチャーにとって最高最大のオーラスということもあって完全に真新しい最高級のコーデが出回るという予想を覆していたことで多くのユーザーが腹をたてながら裏切り アイカツに逃げて行った,と考えられます.



次に考えられるのは,アイカツキャラクターの個性的でピュアな性格が多くのファンを魅了した点と思われます.プリティーリズムがフィギュアスケートに束縛された内容と あたかも横一列のようなキャラクターの性格に対し,アイカツは あらゆるオーディションを通じて個性的なキャラクター同士が互いに手を取り合って 度重なる試練を克服するという内容そのものが,テレビ東京番組審議会からも「青少年に視聴していただきたいアニメ番組」と高く評価され,言い換えれば文部科学省からも この分野としては珍しく 健全で良質な作品と評価された点にあります.

他にも「アイカツキャラのほうがかわいいから」とか「アイカツのゲームのほうが楽しいから」など 理由も添えながらの原因は 幾つもあると思われます…が!
プリティーリズムがアイカツに惨敗されてしまった,唯一とも云うべきほんとうの原因は,誰もみな わかっていないそうですので,ここで そのほんとうの原因を申し上げておきましょう.
プリティーリズムがアイカツに負けてしまった ほんとうの原因は…!

それは,
1979年に「機動戦士ガンダム(R)」がテレビアニメに登場して以来 株式会社バンダイ率いるバンダイナムコグループが真摯となって構築し続けてきた強力な流通網と 手厚いアフターサービス(A/S)態勢の徹底ぶりを,
2006年に株式会社タカラと株式会社トミーが合併して株式会社タカラトミーに生まれかわっても誠実に実践していなかったところにあります.
もちろんタカラトミーにも それなりの流通網とA/S態勢はありますが,まさかの考え方をタカラトミーが真摯となって考えていなかったところが落とし穴だった,と云ってもおかしくなかったでしょう.

その背景には,バンダイナムコが支捐していると云われる株式会社SEGAと タカラトミーが支捐していると云われる株式会社TAITO(R)の間の決裂的な競争関係があったのです.


東京都23区内・某区にある NAMCO直営のゲームセンター内にあるキッズカードゲーム機のコーナー.ここにはアイカツが1台の他はガンダム・ドラゴンボール(R)・妖怪ウォッチ(R)・仮面ライダー(R)など 男性向けのカードゲーム機ばかりが置いてあるだけで,女の子にとっては ちょっと退屈な場所に見える.ここにはプリティーリズムもプリパラも全く置いていない.

かねてからSEGAとTAITOは「犬猿の仲」とされるほどの悪い因果関係にありました.SEGAが開発された「オシャレ魔女ラブ&ベリー」や「リルぷりっ」などがTAITOの直営店に置いてなかったり 逆にTAITOが製造していた オーロラドリーム版当時のプリティーリズムがSEGAやNAMCOの直営店に置いてなかったのは そういった絶縁関係に影響してのことでした.
そういった事情もあって,ミニスカート版当時からのプリティーリズムの筐体が置かれていたところは,SEGAやNAMCOの直営店を避けた 極めて限定された店舗にしか無かったのです.
SEGAかNAMCOの直営店しか無かった一部の地域では,2012年末ごろにSEGA直営店へのプリティーリズムの導入が漸(ようや)く始まるまで 2012年年明けまで導入されていたSEGAの「リルぷりっ」や 「たまごっち」「プリキュア」くらいしか楽しみが無かったのです.しかしNAMCOの直営店では現在でもプリキュアやアイカツに専念すべく プリティーリズムはもとより チェンジ後のプリパラ(R)についても筐体が現れないのが実情です.

そういうわけで 2013年は プリティーリズムの置いていなかった店舗を中心に,バンダイナムコ系の強力な流通網を駆使してアイカツというゲーム筐体が次々と設置されたことで,地方在住を含む より多くの女の子に,寂しかった状況から楽しさを取り戻すことに成功しました.
ということは,タカラトミー系のプリティーリズムは いつの間にか アイカツの後塵に被られるという惨事に巻き込まれたのです.

一方のプリティーリズムは,同年10月からのデュオモードの大幅な改訂や11月の第2弾となる3DSソフト「…きらきらマイデザイン」の発売など,引き続き積極的な姿勢を崩しませんでしたが,「もう来年で限界か」といった声も少なく無く,もはや時間との戦いといっても過言ではない状況にまで陥(おとしい)れられていそうな…それが2013年の女の子向けアーケードゲームの状況でした.

(⑦につづく)