第二段錦 左右開弓似射雕(ズオヨウカイゴン・シシャディアオ)
(馬にまたがり弓で鷹を射るように左右の胸を開く動き)
◎ 意味について
「左右開弓(ズオヨウカイゴン)」は、左と右で弓を引く。
「雕」とは鳥で、タカの一種。「似射雕(シシャディアオ)」は、
タカを射るのに似ているということ。
◎ 動作説明
第一段錦の自然立ちの姿勢より足は広めに開き、
椅子に腰かけるような感じで膝を曲げて立ち、
手を自然に前に垂らし、ゆったりと呼吸を整える。
これを騎馬立ちという。
両手を軽く握り、細く長く深く息を吸いながら
両手を胸の高さまで上げ、気を丹田に集める。
息を吐きながら、右手を弓を引くときのように右に引きつけ、
同時に左手は人差し指と中指でⅤサインのように立て
(剣訣〈ジエンジュエ〉という)左側に向かって静かに押し出す。
このとき剣訣の二本指を半眼のままで追いながら行い、
弓を引き絞ったら、剣訣の間から彼方を見る。
息を吸いながら張りきった弓づるを戻すように
右手と左手を胸の前に戻し、二本の指も拳に戻す。
息を吐きながら、ゆっくりと両手を下げ、騎馬立ちの姿勢に戻る。
次に同じように右手を剣訣にして右側に向かって伸ばしていく。
この運動は左右1回ずつ行い、1分15秒くらいかける。
運動中の呼吸は4息(吸って吐くで1息)なので、
1息あたり18秒から19秒かける深長呼吸を行うが、
自分の体調に合わせて呼吸の長さを短くしてもよい。
二本の指を立てる「剣訣」は、もともとはこの指で敵の目を突く、
という武術の名残である。
八段錦が武術を元として発展してきたというよい証例の一つであるが、
もちろん今の八段錦に目を突くような実質はない。
ただ、その心がわかってやると剣訣を目で追い、
ぐっと伸ばすときの感じが出てくるのではないかと思われる。